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<スズケンDIアワー> 平成16年10月7日放送内容より スズケン

インフルエンザ予防治療薬 リン酸オセルタミビル


神奈川県警友会けいゆう病院 小児科部長
菅谷 憲夫
 

iconインフルエンザの迅速診断と日本

 最近の数年間で、日本のインフルエンザの診断治療は急速に進歩しました。インフルエンザ迅速診断は、病院やクリニックの冬のルーチン検査となりました。迅速診断が当たり前のように実施されている日本ですが、実は欧米ではほとんど実施されていません。インフルエンザ迅速診断は、単に診断目的に有用だったのではなく、医師および国民のインフルエンザについての認識を完全に改めた点に真の意義があります。
 日本では、インフルエンザは迅速診断を実施し、抗ウイルス薬で治療する疾患となりました。2001年からノイラミニダーゼ阻害薬がインフルエンザの治療に認可されましたが、臨床医の関心は高く、世界で最も多く使用される国となっています。2002〜2003年の流行で、ノイラミニダーゼ阻害薬の不足が社会問題となりましたが、oseltamivir(タミフル)は、世界の生産量の60〜70%が日本で使用されました。zanamivir(リレンザ)も日本において最も多く使用されました。結局、1000万人以上の日本国民が迅速診断を受けて、その約半数がノイラミニダーザ阻害剤による治療を受けたと考えられます。意外と思われるかもしれませんが、ノイラミニダーゼ阻害薬も、欧米ではほとんど使われていません。
 以上のように、日本はインフルエンザの診断と治療では世界の最先進国で、日本国民は大きな恩恵を受けています。日本が最先進国であるということは、来るべき新型インフルエンザに対しても、最高の備えがあることにつながります。一方、抗ウイルス薬を大量に消費しているわけですから、耐性ウイルスの発生と、副作用には十分な監視が必要です。

iconアマンタジン投与と耐性ウイルス

 現在、日本ではノイラミニダーゼ阻害薬のoseltamivirとzanamivir、およびアマンタジンが、インフルエンザの治療に使用されています。アマンタジンは、治療投与すると、高率に耐性ウイルスが出現することが知られています。耐性ウイルスが出現したからといって、再び発熱したり、インフルエンザが重症化することはありません。

(資料1:「インフルエンザの電顕像)」

 問題は、耐性ウイルスに新たに感染する周囲の人々にあります。耐性ウイルスで発病した人には、アマンタジンは無効となります。アマンタジン耐性ウイルスは、治療した患者の20〜30%から検出されると報告されています。私たちと東大医科研との共同研究では、小児では70〜80%もの高率に耐性がでています。ただ、細菌の耐性と異なり、アマンタジン耐性のウイルスが出現しても、アマンタジンを中止すると、また感受性のある野生株ウイルスが増えてきます。従って、耐性ウイルスは高率に発生し家族内や病院の同室者に感染することはあっても、施設全体やあるいは社会に広く耐性ウイルスが流行することはないのです。
 耐性の頻度が非常に高いことと、さらに不眠、興奮などの神経系の副作用も知られているので、私は、日本ではインフルエンザの予防と治療にはアマンタジンではなく、ノイラミニダーゼ阻害薬を第一選択として使用すべきであると思います。またアマンタジンには小児の適応はありません。


提供 : 株式会社スズケン

      

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