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<スズケンDIアワー> 平成16年10月21日放送内容より スズケン

話題の新薬2004(2)


独協医科大学 名誉学長
原田 尚

icon早期肺癌治療薬『タラポルフィリンナトリウム』

 続きまして、早期肺癌の治療薬タラポルフィリンナトリウムについてお話します。

(資料2:「タラポルフィンナトリウム」の構造式)

 本薬は植物クロロフィル由来の光感受性物質であり、クロリン骨格にアスパラギン酸をアミド結合させた化合物で、腫瘍集積性が高く、光線力学的療法(PDT)により抗腫瘍効果を呈します。PDT(Photodynamic Therapy)とは腫瘍親和性のある光感受性物質を始めに投与した後、腫瘍組織にレーザー光線を照射することによって、光化学反応を起こし、腫瘍組織を変性壊死させる癌の選択的治療法であります。
 初めは米国で表在性の悪性腫瘍を対象として治験を開始いたしましたが、1995年からは本邦で、初めは表在性の悪性腫瘍に対し、次いで内視鏡的早期肺癌を対象として治験を実施し、2003年の10月に承認されました。
 効能効果は早期肺癌であり、外科的切除等の根治的治療が不可能な場合、あるいは肺機能温存が必要な患者に他の治療法が使用できない場合で、しかも内視鏡的に病変全体が観察できて、レーザー光線照射が可能な病期0〜1期の早期肺癌であります。用法用量は本薬1バイヤルに生理的食塩水4mLを加え、よく攪拌して溶解させます。40mg/m2を1回静脈内注射いたします。注射4〜6時間後にレーザー光線を病巣部位に照射いたします。なお、本薬投与後2週間は、直接日光を避けさせ、遮光カーテン等を用いて、照度500ルックス以下に調節した室内で過ごさせることが大事であります。併用注意薬としては光線過敏症を発現させる恐れのある薬として、例えばテトラサイクリン系抗生薬、スルフォニルウレア系血糖降下薬、非ステロイド系消炎鎮痛薬等がありますし、また光線過敏症を発現させる恐れのある食品として、クロレラ加工品等があります。臨床検査値異常を含む副作用は41%にみられ、その主なものは喀痰の増加、血痰、咳、咽頭痛、CRPの上昇、発熱等であります。また、重大な副作用としてはレーザー光線照射後の肉芽形成のため生じた気管狭窄による呼吸困難があります。

iconホルモン剤『酢酸オクトレオチド』

 次にホルモン剤:酢酸オクトレオチドについてお話します。

(資料3:「酢酸オクトレオチドの構造式」を挿入)

 この薬はソマトスタチンのアナログで、アミノ酸8個からなる合成環状オクタペプチドであります。したがって、本薬の薬理学特性は成長ホルモンやインスリン、ガストリン、甲状腺刺激ホルモン等の分泌抑制など内因性ソマトスタチンの生理的特性に類似しております。1995年以来、欧米各国において承認され、2004年の4月、我が国においても承認されました。筋注用のLAR剤はマイクロスフェア型の徐放性の製剤で、従来の1日2〜3回の投与の皮下注射を、4週間毎に1回の筋肉注射とすることによって、注射回数を著しく減らし、患者さんの負担を軽減することが可能となりました。
 効能効果は、第一が消化管ホルモン産生腫瘍に伴う諸症状の改善であり、第二に先端巨大症・下垂体巨人症における成長ホルモン、ソマトメジンC分泌過剰症状態および諸症状の改善であります。用法用量は消化管ホルモン産生腫瘍においては、20mgを4週毎に3ヶ月間、臀部の筋肉内に注射いたします。その後は症状によって、10〜30mgを4週間毎に投与します。ただし、初回投与後2週間は薬物濃度が十分な濃度に達しないことから、本薬投与前に投与していた同一用量の酢酸オクトレオチド注射液を併用する必要があります。次に先端巨大症・下垂体巨人症については、20mgを4週間毎に3ヶ月間、臀部の筋肉内に注射します。その後は病態に応じて、10〜30mgを4週毎に投与します。重要な基本的注意といたしましては、(1)腫瘍の進展が認められた場合には、ただちに他の療法に切り換えること。(2)治療中の注意深い検査が必要であること。
 (3)長期投与で胆石形成の報告がありますので、エコーなど定期的な検査が必要であります。なお、併用注意薬としてはシクロスポリン、インスリン製剤等があります。副作用は消化管ホルモン産生腫瘍では注射部位の硬結、胆石など。先端巨大症・下垂体巨人症では91%にみられ、注射部位の硬結、疼痛、血糖値の上昇、胆石等があります。なお、重大な副作用としてはアナフィラキシー様症状、徐脈等があります。


提供 : 株式会社スズケン

      

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