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<スズケンDIアワー> 平成16年12月9日放送内容より スズケン

添付文書の副作用の中に見られる症候群 〜ファンコニー症候群〜


帝京大学 名誉教授
清水 直容

iconファンコニー症候群とは

 本日はファンコニー症候群についてお話いたします。この症候群は1936年、ファンコニー先生の記載にはじまります。その主な内容は幼少児の腎性糖尿、低リン血漿、くる病と記載されておりますが、その後、同じような症状、あるいは兆候の組み合わせが、たくさん報告されておりまして、必ずしも遺伝性の疾患ではありません。

(資料1:「ファンコーニ症候群とは」)

 今回の対象の医薬品は、商品名ではイホマイド、これは悪性腫瘍の治療薬でございます。それからデパケン、これは抗てんかん薬でありますが、この2品目につきましては、きちんとファンコニー症候群という記載がされております。症候群は、いくつかの徴候と症状の組み合わせでありますけれど、一言で申しますと腎臓の近位尿細管における物質の再吸収の異常ということにつきまして、その組み合わせは近位の尿細管性のアシドーシス、シスチン尿症、カルシウム代謝異常、腎性糖尿(これは本当の糖尿病でないのに、尿中へグルコースが増える疾患)、低カリウム血症、それから尿への尿酸の排泄の増加であります。

icon腎臓の機能と作用

 そこで腎臓の働きを、先に簡単にご説明したいと思います。

(資料2:「Fanconi症候群:腎臓の機能と作用」)

 腎臓では腎動脈から糸球体を通過した血液から多くの血液成分・水分が濾過され、尿細管を通り、最終的には尿中へ排泄されるわけであります。この近位の尿細管につきましてヘンレループというのがございますが、これには上行脚と下行脚があります。さらに遠位尿細管、集合管を通りまして、最終的に尿として排泄されます。近位尿細管で再吸収される多くの物質、この中にはナトリウム、クロール、カリウム、重炭酸イオン、リン、アミノ酸、尿酸、ブドウ糖などがありますが、この90%はここで再吸収され、その残りの10%がさきほどの尿細管の色々な部分で、さらに再吸収などされ、そして尿中へ排泄されるわけであります。繰り返しになりますが、ファンコニー症候群というのは低リン血症、低カリウム血症、尿中へのアミノ酸の排泄増加、ブドウ糖の排泄増加、それから近位の尿細管性のアシドーシスの組み合わせであり、もともとは遺伝性の疾患でした。それに対しまして、薬剤性のものとしては腎臓の間質炎などを起こすものもございますし、間質炎とは全く関係なくこの近位尿細管への直接作用によるファンコニー症候群もあるわけであります。

    
提供 : 株式会社スズケン

      

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