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<スズケンDIアワー> 平成17年2月10日放送内容より スズケン

小児用抗ヒスタミン薬〜塩酸エピナスチン


用賀アレルギークリニック院長
永倉 俊和

icon 小児のアレルギー性疾患の病像

 小児のアレルギー性疾患において、成人と異なる特徴のひとつにアレルギーマーチという概念があります。これは馬場 実先生が提唱した概念で、乳幼児期には食物アレルギーの主体となったアトピー性皮膚炎、さらにその後気道感染をきっかけとしてチリダニを主な抗原とする小児のアトピー性喘息、そしてそれ以降の年齢になるとスギ花粉によるアレルギー性鼻炎が見られるというものです。これは小児のアレルギー性疾患のかなりの部分に当てはまりますが、近年少し異なった傾向が見られます。それはアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎が低年齢化してきたことです。

(資料2:「アレルギーマ−チ」)

 特に今年はスギ花粉の飛散量が非常に多いために、低年齢の小児におけるスギ花粉症は、増加し重症化する恐れがあります。数年前までは3歳からスギ花粉症が発症すると言われましたが、今年のように大量飛散が予想される年には、より低年齢化する恐れもあります。従って今年は小児が鼻の症状を訴えている場合には、ウイルス性の感冒と単純に考えず、アレルギー性鼻炎の可能性があることも頭に置いて診療にあたることが重要です。

icon 小児アレルギー性疾患の治療

 小児ぜんそくの病態においても、成人同様、炎症が主体ということが明らかになってきました。ヒスタミンの重要性は低下し、その代わりにロイコトリエンやリンパ球や抗酸球の役割が重要視されるようになってきました。その結果、抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー薬の比重は低下しています。
 アトピー性皮膚炎の主な病態は、皮膚のバリア障害、これはドライスキンによるものですが、それに加えてアレルギー性素因による皮膚炎が考えられています。診療の場においては、かゆみの治療は重要なポイントです。かゆみを起こす物質としてはヒスタミンをはじめとする約20種類の物質が挙げられています。痒みの治療薬としてはヒトに安全に使えるものは現時点で抗ヒスタミン薬しかありません。皮膚炎の対症療法としてはステロイド外用薬が使用されます。
 アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の治療は、抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー薬の内服や、点鼻、点眼、そして症状が重い場合にはステロイド点鼻、点眼薬が使用されています。
 このように抗ヒスタミン作用を持つ抗アレルギー薬は小児のアレルギー性疾患の治療において、有用性の高い薬剤となっています。

icon 小児への抗ヒスタミン薬投与の問題点

 抗ヒスタミン薬は基本的に安全性の高い薬剤で、これまで小児に対しても長年にわたって使用されてきました。ただし、これまで小児で用いられてきた抗ヒスタミン薬は、眠気が強いものが多かったといえます。眠気は低年齢児よりも、学齢期以降に問題となります。最近では、インペアードパフォーマンスといわれるように、眠気は感じていなくても、中枢抑制による作業能率の低下や認知機能への影響が指摘されており、小児においても同様のことが起こっていることは十分に考えられます。
 また、抗ヒスタミン薬の中枢への影響としては、痙攣や錐体外路症状などへの影響も示唆されています。実際、一部の薬剤では「痙攣性疾患の患者や既往がある患者には慎重な投与が必要」と添付文書にも指摘されています。日本ではこれまで、小児向けの抗ヒスタミン薬は、中枢移行性の高い薬剤しか選択肢がなかった中で、これらの副作用や問題点が見逃されていた可能性もあります。


提供 : 株式会社スズケン

      

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