→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成17年3月3日放送内容より スズケン

第10回日本薬剤疫学会学術集会


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井孝男

icon はじめに

 第10回日本薬剤疫学会学術総会が2004年11月13日、14日の2日間にわたり、約200名の参加者により福岡で開催されました。今回の学術総会会長は九州大学大学院医学研究院医療システム学講座信友浩一教授が務められました。本学術総会は今回で第10回ということから、日本の薬剤疫学分野における一つの節目を迎えた意義のある学術総会でした。

icon シンポジウム(1)から

 最初は「薬剤疫学のユーザー」と題し、学術総会会長の信友浩一先生の講演から始まりました。講演内容は実務上の妥当な知識の獲得、1970年以降の歴史的な流れ、学会としての知識獲得として大規模臨床治験の環境整備、大規模データベースの活用、課題について述べられました。

(資料2:「会長講演」ほか)

 続いて、シンポジウム(1)として「ユーザーの期待」をテーマに、看護師、薬剤師、企業から意見が述べられました。
 看護師の立場からは、鹿児島大学医学部・歯学部附属病院の宇都由美子先生より、薬剤疫学への看護ユーザーの期待として、生活者としての患者の服薬管理を推進するために、そして、リスクマネジメントの面からは、看護師は患者に薬を与える業務があり、この業務を安全に行うために薬剤に関する事故内容、要因などの分析手法について、薬剤疫学分野での研究によりエビデンスに基づいた安全な業務が実現できると期待を述べました。また、インフォームドコンセントの視点からは、退院後も長期にわたり薬剤を服薬する必要がある患者では、生活習慣病など、QOLを加味した服薬管理ができなければ、患者に必要のない苦痛や不安を与えかねないとし、薬剤疫学のユーザーとして、看護師は生活者である患者の服薬管理に関する積極的な提言を図って行く必要があると述べました。
 国立循環器病センター薬剤部の高田充隆先生は、薬剤を医薬品添付文書に記載されている使用方法に従って使用しているからといって、必ずしも適正に使用されているとは限らない場合もあること。実際に行われている使用方法が適正かどうかについては、常に積極的な検証が望まれること。検証の結果が不適正であると判断された場合は、適正使用のための努力が必要であること。その際に客観的なデータを収集し、薬剤疫学的手法を用いて評価することができれば、より正しい判断ができること。適正使用のための何らかの介入がなされた場合、その介入の成果を検証する上においても、薬剤疫学的手法が役立つことが多いと述べました。さらに、抗不整脈薬を例として、薬剤師は日常の業務を通じて、医薬品の使用を客観的に評価できる立場にあることから、適正使用への介入、およびその成果の検証までを含め、医薬品適正使用を目的とした薬剤疫学研究を押し進めていく必要のあることを述べました。
 東京大学薬学部の澤田康文先生は、薬剤疫学の適用の場は、医薬品の市販後研究であるとし、そして、薬剤疫学から創られるエビデンスが利用されるのもまた、臨床現場であること。その医療現場において、処方ミスを回避し、患者にとってよりよい処方を設計するためには優れたエビデンスが必要であることはいうまでもないとして、特に医師、薬剤師が深く関わる処方設計・処方鑑査の場では、薬剤疫学から創られたエビデンスは重要な役割を果たすと述べました。そして、現在開発している処方評価のための処方チェック・処方設計支援システムの例を示し、薬剤疫学への期待を述べました。また、処方医薬品のみならず、処方せんを必要としない一般用医薬品、健康食品・サプリメントなどに関する情報収集と、薬剤疫学の処方を用いた解析の必要性についても述べ、薬剤師間情報交換システム、栄養士間情報交換システム構築の必要性、薬剤師・栄養士間情報交換システムへと発展させること、最終的には薬剤師、栄養士、消費者の三者をつなげる情報交換システムの必要性について述べました。
 シミック株式会社中村和男氏らは、日本における薬剤などの疫学調査結果を利用した医薬品マーケティングへの応用は、EBMの観点からも必要であると述べ、薬剤疫学調査を実施するうえでプロトコルの質の確保と実際の調査をどのように効率的に運営するかがポイントであること、CRCの活用、Webの利用にシステム構築が必要であると述べました。
 日本医療機能評価機構の高原亮治先生は医療事故防止と医薬品・医療用具の疫学について述べました。


提供 : 株式会社スズケン

      

1 2 3 次項へ