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<スズケンDIアワー> 平成17年3月31日放送内容より スズケン

関節リウマチ治療薬―エタネルセプト(遺伝子組み換え)


埼玉医科大学総合医療センター第二内科 教授
竹内 勤

icon エタネルセプト使用ガイドライン

 このような製剤でございますので、関節炎の症状を除去する、レントゲン上の関節破壊の進行を抑える、そしてその結果として日常生活動作を保持する、この三つの適用がアメリカでは通っている製剤でございます。
 これまでインフリキシマブが使われてきた症例というのは、メトトレキサートに効果がなくて、その方たちにメトトレキサートを投与したまま点滴して参りましたが、このエタネルセプトは、メトトレキサートを使ってもまた使わなくても効果があるということが欧米の臨床研究で明らかにされています。日本におきましては、メトトレキサートを含めました抗リウマチ薬を一度中止し、4週間の観察期間ののち、エタネルセプト単独、あるいはプラセボを対象といたしました比較試験を行いましたので、日本ではエタネルセプト単独の治療効果が確認されています。従いまして、インフリキシマブとの最大の投与上の相違点は他の抗リウマチ薬を併用しなくていいと、特にメトトレキサートとの併用が要らないということでございます。

(資料6:「エタネルセプト使用ガイドライン(1)」)

 ただこのような形でございますと、かなり適用が幅広くなりますので、厚生労働省の研究班がガイドラインを策定いたしました。そのガイドラインはひとつの目安となりますが、その適用疾患といたしまして、日本リウマチ学会の治療ガイドラインに定められております推奨度Aの薬剤、これはブシラミンでございます、それからサラゾスルファピリジン、そしてメトトレキサートの3剤、実はもう1剤、レフルノマイドがございますがこれは現在全例市販後調査による調査中でございますので、先の3剤に不応性の方たちに、コントロールが不良であれば、このエタネルセプトを投与するということになります。
 活動性といたしましては、レミケードと同様に、腫脹関節と疼痛関節が6個以上、血沈28以上、あるいはCRP2以上といったような活動性を持った方たちに、安全性の担保といたしまして白血球の数が4000個以上、リンパ球の数が1000個以上、またβ-D-グルカンが陰性であるということを担保いたしまして、さらに禁忌事項がないということを確かめていただきましてから、この投与を開始していただくということになります。

(資料7:「エタネルセプト使用ガイドライン(2)」)

 この製剤は受容体のアンタゴニストでございまして、血清中のTNF-αとTNF-β(リンフォトキシンαとも呼びますが)を中和するということで、抗体製剤のようにTNFαの産生細胞そのものを抑えることがないということから、感染症のリスク特に結核のリスクが少ないのではないかというふうに言われて参りました。しかしながら他の抗リウマチ薬に比べればやはりリスクは少なくない、というふうに考えられますので、欧米に比べまして結核の発症頻度の高い日本におきましては、やはりインフリキシマブ同様十分な注意が必要でございます。従いまして、先ほどのような安全性の担保、特に結核を中心とした感染症に対しては十分な注意をしていただきまして、先ほどの臨床症状、関節破壊抑制、そして日常生活動作の保持といったような、この製剤の特徴を十分引きだしていただきますようお願いしたいと思います。

icon エタネルセプトの有用性

 これまで、わたくしたちは、抗リウマチ薬不応性の方たちに対しまして十分な治療手段というのを持って参りませんでした。しかしながら2003年7月に承認されたインフリキシマブがそれらの方たちに非常に大きなインパクトを与え、その有効率も非常に印象的なものでございました。ただしインフリキシマブの場合には先ほどお話し申し上げましたように、メトトレキサートを併用しその上で点滴しなければいけないという制約がございましたので、メトトレキサートが使えないような人たちというのは当然インフリキシマブが使えませんでした。ところがこのエタネルセプトは先ほどお話しましたようにメトトレキサートを使っていてもまた使っていなくても投与できますので、そのような制約がございません。従いましてこれまで生物学的製剤の恩恵に預かれなかった活動性の高い関節リウマチの方にとって、非常に有効な薬剤になるのではないかと期待されております。またその投与方法が、点滴であるというインフリキシマブの特徴と異なりまして、皮下注射をするというふうに若干異なっておりますので、そのことも含めまして、インフリキシマブにない有効な生物学的製剤が登場したということになります。
 ただこの皮下注製剤の特徴といたしまして、30%〜40%の方たちに、ちょうど蚊に刺されたのと同じような、軽度のかゆみのある紅斑が出るということが言われておりますので、その点は注射部位を変えるなどの対応が必要かというふうに思われます。そのようなことを考えましても、上手にそして安全にこの製剤を適用のある方たちに使っていただければよろしいのではないかと考えております。
 以上、本年(2005年)の3月に薬価収載されました、エタネルセプトについて簡単にご紹介申し上げました。


提供 : 株式会社スズケン

      

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