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<スズケンDIアワー> 平成17年4月14日放送内容より スズケン

DI実例集:ビグアナイド系血糖降下薬の薬効、副作用と体内動態


三重大学医学部附属病院 教授・薬剤部長
奥田 真弘

icon ビグアナイド系血糖降下剤とは

 ビグアナイド剤は、40年以上にわたって臨床使用されている経口血糖降下薬です。ビグアナイド剤は肝臓におけるグルコース産生を抑制し、インスリン抵抗性を改善することから、2型の糖尿病の治療薬として頻繁に用いられます。ビグアナイド剤の一つであるメトホルミンは、肥満傾向にある糖尿病患者にも使えることや、インスリンやスルホニル尿素剤と比べて、低血糖のリスクが少ないことが明らかになり、有用性が見直されたことから、近年、使用量が増加しています。

(資料1:「ビグアナイド系血糖降下薬の構造」)

 ビグアナイド剤による重篤な副作用として乳酸アシドーシスが有名です。乳酸アシドーシスは予後が極めて不良な重篤な副作用であり、致死率は50%〜60%にのぼると言われています。1970年代初頭にアメリカでビグアナイド剤の一つであるフェンホルミンの服用患者が乳酸アシドーシスによって死亡し、わが国でも重篤な乳酸アシドーシスが相次いだことから、フェンホルミンは発売中止となりました。現在、わが国で用いられるビグアナイド剤はブホルミンとメトホルミンです。この中で最もよく用いられるメトホルミンによる乳酸アシドーシスの出現頻度は10万人当たり約3人であり、フェンホルミンと比べると低いことが知られています。メトホルミンによる乳酸アシドーシスの危険因子として、乳酸アシドーシスの既往歴や腎障害が挙げられますが、最近、これらの危険因子がない患者においても、メトホルミン投与に伴う乳酸アシドーシスの例も報告されています。
 メトホルミンは生理的pHではプラス電荷を有するカチオン性薬物であり、投与された後、ほぼ全てが未変化体のまま尿中に排泄されます。メトホルミンの腎クリアランスは糸球体濾過速度の数倍に達することから、腎排泄において尿細管分泌の寄与が大きいと考えられていますが、その分子機構はこれまで明らかではありませんでした。さらに、メトホルミンの作用、副作用の標的臓器である肝臓に対するメトホルミン移行機構も不明のままでした。

    
提供 : 株式会社スズケン

      

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