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<スズケンDIアワー> 平成17年4月21日放送内容より スズケン

高コレステロール血症治療薬−ロスバスタチンカルシウム


千葉大学大学院臨床遺伝子応用医学教授
武城 英明

icon 高コレステロール血症の治療と冠動脈疾患の発症予防

 血液中のコレステロールが高くなることにより動脈硬化が進みやすくなることが知られています。このコレステロール血症に対してコレステロールを下げる薬剤を服用することで動脈硬化を防げるのかどうか、いわゆる高コレステロール血症への介入試験が1990年頃より欧米で実施されるようになりました。すなわち、血管に溜まるコレステロールを取り除くことにより動脈硬化を防ぐことを期待したものです。これらの試験では、薬剤により総コレステロール値を約20〜30%、その中でも血管に溜まる悪玉コレステロールとして知られているLDL-コレステロールを低下させ、4〜5年後に動脈硬化によりひき起こされる心筋梗塞や不安定狭心症などの冠動脈疾患を減らせるのか評価したものです。その結果は、『コレステロール血症を治療することにより、動脈硬化が進展するのを有意に抑制できる』ということがわかったのです。さらに明らかになったことは、これらの対象となった患者さんは、すでに心筋梗塞を起こしたいわゆる動脈硬化についてハイリスクの患者さんだけではなく、心疾患を患っていないコレステロールが高いけれどもなんの症状のない一見健康なかたでも、同じように薬剤の恩恵を得ることが分かったのです。このように、高コレステロール血症を薬剤で治療することにより、動脈硬化が進むのを遅らせることがわかりました。これらの臨床試験で用いられた薬剤がスタチン系薬剤です。

icon スタチンの作用機序

 スタチン系薬剤は現在すでに世界中で広く使われています。作用が確実なこと、安全性の高いこと等から、最近ではOTCとして認められた国もあります。

(資料2:「スタチンの構造とHMG-CoA還元酵素への結合部位」)

 わが国でも、すでに複数のスタチンが一般臨床で使われ、とりわけ最近開発されたスタチンは、強力なLDLコレステロール低下作用を示すことからストロングスタチンとよばれています。これらのスタチンにより、いろいろな動脈硬化のハイリスクな患者さん、一方で、女性及び高齢者の方々における効果についてさらに詳しい検討が進行しています。スタチン系薬剤は、いわゆる内因性にコレステロールを合成する経路における律速段階にある酵素、HMG-CoA還元酵素を特異的に阻害するという薬理作用をもっています。これは、これらの薬剤がHMG-CoA還元酵素がHMG-CoAに結合するのを競合的に阻害することによります。
 HMG-CoA還元酵素を特異的に競合阻害する結果、細胞内のコレステロールの合成が低下します。そうすると結果として、細胞内のコレステロールが減少するのです。ところで、細胞は、細胞にたまっているコレステロールを認識するセンサーをもっています。このセンサーは細胞内のコレステロール量を常に一定に保とうとする働きがあります。したがって、細胞内のコレステロールの量が少なくなると、今度は細胞の外からコレステロールを取り込む働きを強めます。これは細胞の表面にあるコレステロールを取り込む受容体を増やすことにより可能となるのです。この受容体は、血液中のコレステロールを含んだリポ蛋白LDLと結合して細胞内へ取り込むことからLDL受容体とよばれています。コレステロール代謝からみますと、スタチンは、からだのなかで中心的な臓器である肝臓でLDL受容体をたくさん発現させることにより、血液中のLDLを肝臓に取り込ませて、最終的に体外へと排出します。このようにして、スタチンは、血液中のLDLに含まれるコレステロールを強力に低下させる作用を示すのです。コレステロールの中でも、先ほどお話ししましたように、このLDLコレステロールは血管に溜まるコレステロールです。したがって、溜まる原料を取り除くことにより動脈硬化を防ぐことになります。


提供 : 株式会社スズケン

      

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