→ 番組表はこちら
→ ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成17年4月21日放送内容より スズケン

高コレステロール血症治療薬−ロスバスタチンカルシウム


千葉大学大学院臨床遺伝子応用医学教授
武城 英明

icon ロスバスタチンのLDLコレステロール低下作用

 このような作用機序をもっているスタチンの、高コレステロール血症に対する有用性と安全性が世界中で認められるなかで、とりわけ強力なLDLコレステロールの低下作用を有している新たなスタチンとして、ロスバスタチンが今年度、わが国においても承認され、近々患者さんに使用できるようになります。

(資料4:「ロスバスタチンカルシウム」)

 処方用量として20mgまで使用することが可能となります。その強力なコレステロール低下作用から、動脈硬化へのいっそうの予防効果が期待されています。ところで、このロスバスタチンは、元来、我が国で開発されたスタチンです。途中で海外に渡り逆輸入された薬剤です。海外で臨床開発が行われ、我が国では使用にあたりブリッジングスタディが実施されました。ロスバスタチンは、ジヒドロキシヘプテン残基をもち、HMG-CoA還元酵素と結合してスタチンとしての特異的な薬理作用を示します。加えて、他のスタチンと異なり極性のあるメタンスルホンアミド基をもつことにより親水性が高いという特徴があります。結晶構造から解析された結果では、ロスバスタチンは、HMG-CoA還元酵素と結合し相互作用する数が他のスタチンに比べて最も多く、このことがロスバスタチンとHMG-CoA還元酵素との強固な結合を可能にしていると考えられます。精製した酵素触媒部分を用いたHMG-CoA還元酵素の活性に対する阻害作用は、IC50値が5.4nMと従来のスタチンに比べ強い効果を示します。その作用は肝細胞に選択的で、コレステロール合成の阻害の強さは従来のストロングスタチンであるアトルバスタチンの7倍に相当することが報告されています。

icon ロスバスタチンの臨床成績

 さて、我が国の臨床成績からすでに報告されているいくつかの成績を紹介します。日本人の高コレステロール血症患者を対象にした多施設で行われた用量反応試験で、ロスバスタチンを一日40mgまで服用することにおけるLDL-コレステロールの低下作用が検討されました。

(資料5:「LDL-C改善効果における用量反応性(日本人)」)

 6週間後のLDL-コレステロールの変化率は、logスケールで用量反応性に認められました。その結果、LDL-Cは約35%から66%へと低下しました。また、LDL-コレステロールに加えて、中性脂肪は16から26%低下、一方、善玉コレステロールであるHDL-コレステロールは7から13%増加することがわかりました。

(資料6:「血清コレステロール改善効果」)

 さらに、難治性の家族性高コレステロール血症の患者さんを対象にした試験では、6週間毎に用量を増大することにより18週間観察されました。ロスバスタチンを投与することにより、投与前300以上あったLDL-コレステロールは、約130mg/dLへと減少しました。10、20mg服用により、それぞれ49%、54%低下したことが示されています。この間に、やはり中性脂肪は25%低下、HDL-コレステロールは13%上昇しました。このように、日本人の一般の、また重症の高コレステロール血症の患者さんを対象にした成績から、本薬剤の確実なLDL-コレステロール低下作用が明らかになっています。

(資料7:「メタボリックシンドローム」)

 これらの成績に加え、米国で発表された複数の試験の成績から、高齢者、女性、糖尿病の患者さん等の各サブグループに分けた解析でも、ロスバスタチンによる確実なコレステロール低下作用が示されています。中でも、コレステロールはあまり高くなくても、血圧や糖尿病、高中性脂肪血症と低HDL血症を合わせもっているようなメタボリックシンドロームの患者で、LDL-C低下作用に加え、中性脂肪23%低下、HDL-コレステロールを10%上昇、させることが報告されています。このことは、わが国でも今後問題になるメタボリックシンドロームの患者さんに対する治療として有用である可能性を示しています。


提供 : 株式会社スズケン

      

前項へ 1 2 3 次項へ