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<スズケンDIアワー> 平成17年4月28日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠について(10)


日本大学薬学部薬事管理学 教 授
白神 誠

icon ジオン注と原価計算方式

 次は、ジオン注です。成分名は硫酸アルミニウムカリウム及びタンニン酸で三菱ウェルファーマの開発です。本剤は炎症惹起作用、組織硬化作用、血流量減少作用を有し、脱出を伴う内痔核を適用とします。同様の効能・効果、薬理作用等を持つ類似薬はなく、薬価は原価計算方式により算定されました。

(資料3:「硫酸アルミニウムカリウムタンニン酸」)

icon エンブレル皮下注用の類似薬効比較方式による薬価算定

 次は、エンブレル皮下注用です。成分名は遺伝子組み換えで製造されたエタネルセプトで、ワイスの開発です。

(資料4:「エタネルセプト」)

 エタネルセプトは、ヒト型可溶性TNFレセプター融合蛋白で、TNFα、すなわち腫瘍壊死因子と受容体との結合を阻害することによって抗リウマチ作用を発揮し、「既存治療で効果が不十分な場合の関節リウマチ」を適用とします。効能効果や薬理作用が類似する田辺製薬のインフリキシマブの製剤であるレミケード点滴静注用を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定されました。なお、インフリキシマブは、やはり遺伝子組み換えで製造されるヒト/マウスキメラ型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体です。レミケード注は、初回投与後、2週、6週に投与し以後8週間ごとに点滴静注します。それに対して本剤は、週2回皮下注射します。このように用法が異なる場合は、薬価算定に当たっては治療クール当たりの薬価が同じとなるように算定します。そこで、レミケード注については、維持療法となった8週間ごとの薬価と本剤8週間分の薬価をあわせることとされました。これに対し、薬価申請者からは導入療法を加味した54週分の薬価で合わせるべきであるとの異義申し立てが行われました。しかし、レミケードについて導入療法の意義はあると考えられるものの、明確な標準的投与期間が定まっていない以上、維持療法における薬価を用いて算定することが適当であるとの理由で薬価算定組織は、異義を却下し、当初の算定どおりとしました。なお、価格が外国平均価格の4分の3を下回ったため、引き上げが行われました。
 以上の新医薬品は3月9日の中医協総会で審議され、3月18日に薬価基準に収載されました。

icon エムトリバカプセルの薬価算定と外国平均価格調整

 次は、エムトリバカプセルです。成分名はエムトリシタビンで、日本たばこ産業の開発です。

(資料5:「エムトリシタビン」)

 エムトリシタビンは、HIV逆転写酵素阻害作用を有するヌクレオシド系の抗ウイルス剤で、HIV-1感染症に用いられる薬剤です。HIV逆転写酵素阻害剤は既に3つ以上あることから、新規性の乏しい新医薬品として類似薬効比較方式(II)で算定されました。比較対照薬の選定に当たっては、算定ルールに従い、過去10年間の類似薬の平均一日薬価、過去6年間の類似薬の最低一日薬価及び最も類似性の高いエピビル錠の一日薬価を比較したところ、エピビル錠の一日薬価が最も低くなったことから、さらに過去15年間の類似薬の平均薬価及び過去10年間の類似薬の最低一日薬価についても比較し、結果としてエピビル錠を比較対照薬とすることとされました。エピビル錠は有効成分ラミブジンで、グラクソ・スミスクラインの製品です。なお、このようにして算定された価格が、外国平均価格の1.84倍となることから外国平均価格調整により引き下げが行われました。


提供 : 株式会社スズケン

      

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