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<スズケンDIアワー> 平成17年5月19日放送内容より スズケン

皮膚真菌症治療薬ルリコナゾール


帝京大学皮膚科 教授
渡辺 晋一

icon はじめに

 皮膚真菌症は皮膚組織を感染の場とする真菌感染症です。真菌の感染する部位は皮膚組織のどこにでも起こり得ますが、最も頻度が高いのが角層で、その代表的なものが、白癬、皮膚カンジダ症、癜風です。日本医真菌学会の疫学調査によると、皮膚真菌症は皮膚科の新患患者の13%を占め、その88.0%が白癬で、次いでカンジダ症8.5%、癜風3.4%と大部分が表在性真菌症です。さらにその内訳をみると、白癬の64.0%が足白癬で、爪白癬が16.7%を占めることから、足・爪白癬患者は皮膚科新患患者の1割近くを占めることがわかります。さらに爪白癬や手白癬は足白癬を基盤に発症するので、これからの皮膚真菌症治療の課題は白癬の基本病型である足白癬の克服であるといっても過言ではありません。最近の疫学調査によると、我が国では5人に1人の割合で水虫患者がおり、これらの患者の多くは未治療のままであるため、このような患者が白癬の感染源となります。
 近年優れた抗真菌外用薬が開発され、白癬患者の治療は容易になったはずです。しかし、水虫で悩んでいる方のファックス相談をしたところ、多数の問い合わせがあり、驚いたことに水虫患者の悩みの30%近くが皮膚科標榜医を受診しているにも関わらず、よくならないというものでした。そこで、この原因を医師側および薬剤側から検討してみました。

icon 医療従事者側の問題点

 医師側の問題点としては、診断あるいは治療の間違いが挙げられますが、現在優れた抗真菌症薬があるので、趾間の糜燗、皸裂などに不適切な治療をしない限り足白癬治療は容易です。従って医師側の問題点は大部分が診断の間違いです。

(資料4:「顕微鏡での検査」)

 診断の間違いの原因として一番多いのは、直接鏡検を行わないことが挙げられます。なぜならば水虫は見ただけではわからず、直接鏡検をしないと確定診断は下せないからです。また、世間一般の人は、水虫は痒いもの、あるいは足に生ずる皮膚病変は水虫と思っていますので、足白癬でない人も水虫を主訴に来院します。実際、自称水虫患者を直接鏡検してみると、その1/3からは白癬菌を検出できないとの報告があります。従って患者に言われるままに抗真菌薬を処方しても、1/3はよくならない訳です。また、直接鏡検をしても、モザイク菌やごみ、糸くずを白癬菌と見誤ると、誤診することになります。

icon 薬剤側の問題点

 薬剤側の問題点としては、抗真菌活性、副作用、薬剤耐性、コンプライアンスなどがあります。現在市販されている抗真菌外用薬はいずれも優れた抗菌活性を示し、しかも副作用も少ないため、抗真菌活性、副作用の点では特に問題はありません。また薬剤耐性の問題ですが、白癬の原因菌である皮膚糸状菌に関する限り、薬剤耐性菌を試験管内レベルで作成することに成功していませんし、臨床の場でも薬剤耐性皮膚糸状菌は分離されていません。


提供 : 株式会社スズケン

      

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