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<スズケンDIアワー> 平成17年5月19日放送内容より スズケン

皮膚真菌症治療薬ルリコナゾール


帝京大学皮膚科 教授
渡辺 晋一

icon 抗真菌外用薬の臨床での現状

 次にコンプライアンスの点ですが、今ある外用抗真菌薬は、入浴や皮膚のターンオーバーなどで皮膚から消失してしまうため、毎日外用しなければなりません。特に足白癬の場合は角層が新しい角層に置き換わる4週間以上の外用を続ける必要があります。
 従って、Fax相談で抗真菌薬を外用しても水虫がよくならないと答えた患者の多くは、治療により自覚症状がなくなると、治癒していなくても治療を中止または中断してしまうためだと考えられます。また一旦、足白癬が軽快してもしばしば再発を繰り返すために、よくならないと悩んでいるのかもしれません。実際、足白癬に罹患している患者さんは、治療により治癒しても、ほとんどが翌年になるとまた水虫が再発したと来院します。そこで足白癬を治療したあと、どの程度の再発が見られるかを調べてみました。その結果、治療中に時々抗真菌薬の外用を忘れる患者では全例再発が見られ、きちんと外用することが再発を予防する上で重要であることがわかりました。

(資料7:「治療による再発曲線」)

 また一旦、真菌が消失してからも抗真菌外用薬をさらに4週間外用し続けた群と、菌の消失とともに直ちに治療を中止した群の再発率を比較すると、菌の消失後も、外用薬を塗り続けた群の方が再発率が低いという結果が得られました。このことから再発の予防には足白癬治癒後にも外用薬を塗布し続けることが、再発率を軽減するのに役立つことがわかりました。

icon 求められる薬剤は何か?

 以上のことからわかることは、現在ある外用抗真菌薬の欠点はコンプライアンスが悪いということです。つまり、大部分の水虫患者は、抗真菌薬を処方された最初の日は1日1回外用すればよい薬でも、1日に何回も外用するかもしれません。しかし、忙しくなるとそのうちに外用を忘れてしまいます。特に、2週間も外用を続けると、痒みなどの自覚症状はなくなってしまうので、水虫患者の大部分は外用を忘れてしまうことが多いようです。しかし、現在市販されている外用抗真菌薬は、4週間外用しないと真菌は消失しません。確かに、治験では4週間きちんと抗真菌薬を外用しますが、実際の外来患者では、4週間もきちんと外用を続けられる患者は多くいません。しかも、外用薬は入浴や皮膚のターンオーバーのために皮膚から消失してしまうため、毎日きちんと外用し続けなければなりません。これは仕事が忙しいサラリーマンでは困難です。そして、このようなサラリーマンが家庭内の水虫感染の感染源となるため、我が国の水虫患者は減りませんし、せっかく水虫の治療をしても、再発を繰り返すことになります。そこで新しい外用抗真菌薬に望まれているものはコンプライアンスの向上、つまりいかに治療期間を短縮できるかということです。

(資料10:「ルリコナゾールの構造式」)

 今回新たに承認されたルリコナゾールはこの目的にあった抗真菌外用薬で、この薬剤の登場により、水虫患者の数も減り、ひいては水虫の再発を減らすことも可能性があると思われます。


提供 : 株式会社スズケン

      

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