<スズケンDIアワー> 平成17年5月26日放送内容より |
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日本製薬工業協会医薬品評価委員会 PMS部会長
高橋 春男 今回の改正薬事法により制定されました「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準( GPSP)」を中心に、GPSPに関連しまして一部改正されました「製造販売後臨床試験の実施に係るGCP」について解説いたします。また、市販後の安全対策に係る「製造販売後安全管理基準(GVP)」についても解説いたします。
最初に、改正薬事法の施行までの経緯について説明いたします。改正薬事法は平成 14年7月25日に国会で成立し、同年7月31日に法律第96号として交付されました。改正薬事法につきましては、公布後3年以内に施行することとされ、その第一弾が平成15年7月30日より施行されました。生物由来製品の安全性確保対策、医薬関係者が保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要であると認めたときの副作用報告の義務付け、並びに医師主体治験の届出制度であり、それに伴いGCP省令を改正しました。
GPMSPからGVPとGPSPに分離されました。 これまで、市販後調査に関しましては、 GPMSP省令(市販後調査の基準)に基づいて実施されてきましたが、GPMSPが医薬品の安全管理に関するGVP省令と調査や試験に関するGPSP省令に分離されました。GPSPはGood Post-marketing Study Practiceの略であり、以後は製造販売後調査・試験実施基準をGPSPと略させて頂きます。GVPはGood Vigilance Practiceの略であり、製造販売後安全管理基準をGVPと略させて頂きます。GVPは医薬品の製造販売業の許可要件ですので、製造販売業者は必ず具備していなければなりませんが、一方、GPSPは、医薬品の製造販売後の調査や試験を実施する際に求められる遵守事項となっています。
GPSPの要点について説明いたします。製造販売後の調査・試験につきましては、全体を統括する製造販売後調査等管理責任者が企画・立案した計画書に従って調査・試験を実施します。調査票を収集し、集計・評価の上、結果を取りまとめて、医薬品の有効性、安全性に関する根拠資料として再審査・再評価申請資料等に活用するとともに、必要に応じて医療関係者に提供します。 なお、 GPSPに規定する調査・試験とは「使用成績調査」、特別調査から名称変更しました「特定使用成績調査」及び市販後臨床試験から名称変更しました「製造販売後臨床試験」が該当しますが、その定義は従来とほぼ同様で、これらは医薬品の承認された効能・効果、用法・用量の範囲内で行うことを原則としていることに変りはありません。 調査や試験につきましては観察研究と介入研究とがありますが、観察研究とは日常診療下の使用実態通りにデータを集めて、仮説の検出や確認を行うものであります。多様な患者集団から発現頻度の低い副作用や重篤な副作用等を収集するには、多数の症例を必要としますので、観察研究が適していると言われています。 GPSPでの使用成績調査、特定使用成績調査はこれに該当します。一方、介入研究とは、研究目的に応じて特定の治療や検査を実施して仮説を検証するもので、実験的研究ともいわれております。一定の条件の患者集団を無作為に被験薬投与群と非投与群に割り振って有効性を確認する比較臨床試験は、介入研究の代表例です。GPSPでの製造販売後臨床試験は介入研究に位置付けられます。
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