→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成17年6月9日放送内容より スズケン

深在性真菌症治療薬―ボリコナゾール


川崎医科大学呼吸器内科 講師
二木 芳人

icon 深在性真菌症治療の現況

 深在性真菌症は1980年代から注目を浴びている感染症で、特に免疫不全患者の合併症としてのそれは診断も困難で有効な治療薬も限られており、予後不良が当然と当時は考えられておりました。しかし、それから二十数年が経過した現在では、血清学的診断法を中心にその診断技術は向上し、新しい治療薬、例えば1990年代のフルコナゾールやイトラコナゾールのトリアゾール系抗真菌薬、あるいは2002年に発売されたミカファンギンなどによって、一部の深在性真菌症では明らかな予後の改善も得られるようになっています。その好例はカンジダ感染症で、1991年にフルコナゾールが発売となって以来、その確実な有効性と、高い安全性を含めた使い易さによって、カンジダ感染症では積極的な経験的治療、いわゆるエンピリックセラピーの実施が普及し、その死亡率は大きく改善されています。他方、その臨床における頻用によってアゾール系薬への耐性化と言う新たな問題も生じてきております。この耐性の問題には二面性があり、ひとつは従来フルコナゾールに有効であったC.albicansのアゾール耐性化と、今ひとつは本来アゾール系抗真菌薬に耐性化傾向を示していた、C.glabrataC.kruseiなどのalbicans以外のカンジダ属菌の増加傾向です。
 さらに、大きな問題として残されているのがアスペルギルス感染症です。ひとつには特に重症型の侵襲性アスペルギルス症を生ずる患者ではその宿主状態が極めて不良なことが多い点、また、有効な治療薬が今日でも限られている点などから、その予後は現在でも不良と言えます。最近発売されたミカファンギンは、優れた抗アスペルギルス活性を有し、安全性も高いことから、現在臨床では巾広くアスペルギルス感染症に用いられますが、侵襲性アスペルギルス症ではその単独での有効率は必ずしも満足するレベルにはない様に思われます。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

1 2 3 次項へ