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<スズケンDIアワー> 平成17年6月23日放送内容より スズケン

肺動脈性肺高血圧症治療薬―ボセンタン水和物


浜松労災病院 院長
篠山 重威

icon Bosentanの臨床成績

 肺高血圧症の治療で今注目を集めているのは、非ペプチド系で、経口的に投与され、ETAとETB受容体を同時にブロックするBosentanであります。

(資料5:「16週までの6分間歩行距離の変化」)

 肺高血圧症患者に対する有効性が明らかに示されたのはBREATHE-1と呼ばれる試験で、PAH患者213例が組み入れられ、プラセボとBosentanに割り付けられて、最低12週間の経過が追跡されました。主要評価項目は運動耐容能の改善に置かれましたが、16週でBosentan投与群で6分間歩行に有意な改善が見られています。この改善は同様の特発性肺高血圧症患者に対するepoprostenolの持続点滴によって見られた改善にほぼ匹敵するものであります。Bosentanは更にBorg呼吸困難指数とWHO機能分類の改善をもたらし、臨床的な増悪が発現するまでの時間を延長させました。Bosentan 125mg1日2回投与ではプラセボに比して有害事象の有意な増加は見られませんでしたが、250mg投与では肝酵素の上昇がしばしば認められました。従って、至適投与量として125mg1日2回投与が薦められました。

(資料6:「血行動態的反応」)

 わが国に於いても、平成14年3月から特発性肺高血圧症または膠原病と結合組織疾患を合併している肺高血圧症患者を対象にしてBosentanの有効性を検討する多施設共同試験が開始されました。ところで、多数の臨床研究において、薬剤に対する反応は人種によって異なることが示されています。そこで、この試験を始める前に、Bosentan 125mg投与における薬物動態の比較試験を行い、それが白人と日本人でほぼ変わりがないことを確認しました。この結果から、日本人患者の治療にBosentanを用いる場合、用量を変える必要はないと考え、過去に外国で用いられた量と同じ125mg1日2回投与で我が国初のオープンラベル試験を実施しました。この試験には11の試験実施施設から21例の患者が登録されましたが、特発性肺高血圧症の13例と続発性PAH5例、計18例で最終的な評価がおこなわれました。平均年齢は36才でありました。12週間の投与によって血行動態には著明な改善が見られました。

(資料7:「日常生活上のエネルギー図」)

 試験の主要評価項目は運動能力の改善におかれました。多くの運動負荷試験は、最大運動負荷時における運動能力を評価するものですが、日常生活を行う上で最大限のエネルギー消費を必要とする事は多く有りません。
 本試験では、個々の身体活動を行う際に消費されるエネルギー量によって運動機能を量的に表示する身体活動指数を用いて日常生活における運動能力を評価しました。

(資料8:「6分間歩行・Borgの呼吸困難指数・身体活動指数」)

 Bosentan治療によって、Borg呼吸困難指数により評価される症状の顕著な改善、6分間歩行テストおよび身体活動指数により評価される運動耐容能の有意な改善が見られました。6分間歩行距離およびBorg呼吸困難指数の変化は、患者が呼吸困難を来たすことなく、より長い距離を歩行出来るようになった事を意味するものであります。また、この試験では、Bosentan 125mg1日2回の投与量でアミノトランスフェラーゼの上昇が見られた症例が3例ありました。これらの症例では、薬剤の中止が必要であった1例を除き、投与量を変更する事無しに、あるいは投与量を減量して治療を継続しましたが、肝機能異常が徐々に正常化しました。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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