獨協医科大学 名誉学長
原田 尚
急性前骨髄球性白血病治療薬アルセニック・トリオキサイド
最後に再発または難治性の急性前骨髄球性白血病治療薬アルセニック・トリオキサイドについてお話しします。

1990年代に急性前骨髄球性白血病に対する三酸化ヒ素の有効性が報告され、現在欧米では再発または難治性の本症に対する第一選択薬として用いられております。本邦においては2004年の10月に承認されました。
効能・効果は再発または難治性の前骨髄球性白血病であります。用法・用量は通常、三酸化ヒ素として0.15mgを5%のブドウ糖液あるいは生理的食塩水に混合して100〜250mLとし、1〜2時間かけて静脈内に注入いたします。寛解導入療法としては骨髄寛解が得られるまで、1日1回投与し、投与回数は60回を超えないとされております。 また寛解後の療法としては寛解導入終了後3〜6週間後に開始しますが、5週間の間に1日1回、計25回投与とされております。
この薬は警告が発せられておりまして、本薬による治療は危険を伴うため、原則として投与期間中は入院させること、そして医師の管理下に置くとされております。
特に緊急医療体制の整った医療機関で、本症の治療に十分な知識と経験を持つ医師が治療することとされております。
また本薬はQT延長、完全房室ブロック等の不整脈を起こすことがありますので、治療前には心電図、血清電解質やクレアチニンを測定する必要があります。さらにAPL分化症候群を発現し、致死的な事があります。従いまして治療前、添付文書を熟読するという必要性が喚起されております。
慎重投与の対象といたしましては、
(1)QT延長の既往のある患者、低カリウム血症、低マグネシウム血症、心疾患 (2)QT延長を起こす可能性のある薬剤を投与中の患者 (3)心疾患 (4)肝障害 (5)腎障害 (6)高齢者、小児 等であります。
併用注意薬としては、ドロペリドール、精神病薬、抗鬱薬、抗不整脈等とたくさんあります。
副作用として重要なものは、心電図のQTの延長、APL分化症候群、白血球増多症、その他であります。
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