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<スズケンDIアワー> 平成17年7月28日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠について(11)


日本大学薬学部薬事管理学 教 授
白神 誠

icon ボセンタン水和物の薬価算定

 前回の放送以降、薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。
 はじめはトラクリア錠です。

(資料1:「ボセンタン水和物の薬価算定根拠」を挿入)

 成分名はボセンタン水和物で、アクテリオン・ファーマシューティカルズ・ジャパンの開発です。ボセンタン水和物は、エンドセリン受容体拮抗作用を有し、肺動脈性肺高血圧症を適応としますが、WHO機能分類クラスIII及びIVに限定するとされています。薬理作用や投与形態は異なるものの、効能効果が類似しているエポプロステノールナトリウムの製剤であるグラクソ・スミスクラインの静注用フローランを比較対照に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。エポプロステノールナトリウムはプロスタグランジンI2作用を有します。本剤は経口剤であり、フローランは注射剤であることから、薬効群の近い不整脈用剤であるタンボコールの錠剤と注射剤との間の薬剤間比0.215を用いて調整が行われました。
 フローランがインフュージョンポンプによる24時間持続点滴投与が必要であるなど、患者への負担が大きいのに対し、本剤は内用薬であり、そのような負担がないなど、対象疾病の治療方法の改善が示されていると判断され、有用性加算(II)が適用されました。また、オーファンドラッグであり、同じ適用に対し、薬理作用が類似している薬剤が存在していないことから、市場性加算(I)も適用されました。さらにその価格が外国平均価格の4分の3を下回ったため、引き上げが行われました。
 この算定結果に対し、申請者からは、既存薬とは作用機序が異なるので、フローランの効果が減弱した患者に対しても、本剤により症状が改善される可能性があり、もっと高い評価がされるべきであるとの不服が申し立てられましたが、改善が客観的に示されているとはいえないと判断され、申し立ては却下されました。

icon タミバロンの薬価算定と有用性加算(II)

 次は、アムノレイク錠です。成分名はタミバロテンで、東光薬品の開発です。

(資料2:「タミバロンの薬価算定根拠」を挿入)

 タミバロテンは分化誘導作用やPML-RARα融合遺伝子作用を抑制する作用を有し、再発又は難治性の急性前骨髄球性白血病を効能効果とします。効能効果、薬理作用等が類似している三酸化ヒ素の製剤である日本新薬のトリセノックス注を比較対照薬に類似薬効比較方式(I)で算定が行われました。ちなみに、三酸化ヒ素はアポトーシス誘導作用を有してます。本剤は経口剤であり、トリセノックスは注射剤であることから、薬効群の近いアルキル化剤であるエンドキサンの錠剤と注射剤との間の剤形間比0.446を用いて調整が行われました。本剤により、対象疾病の治療方法の改善が示されていると判断され、有用性加算(II)が適用されました。
 なお本剤の使用上の注意に「緊急時に十分対応できる医療施設において、白血病(特に急性前骨髄球性白血病(APL)の癌化学療法に十分な知識・経験を持つ医師の下で、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること」と記載されていることを受け、本剤の薬価基準収載に当たって、「使用に当たっては十分留意する」旨の通知が出されています。


提供 : 株式会社スズケン

      

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