→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成17年8月25日放送内容より スズケン

内痔核治療用局所注射剤


社会保険中央総合病院大腸肛門病センター  センター長
岩垂 純一

icon OC-108の治療メカニズム

 脱出する痔核にも有効な内痔核治療局所注射剤として、硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸注射液OC-108(商品名ジオン)が本年(2005年)3月23日から発売されました。OC-108とはいかなる注射剤か、また、注射するのに際しては独特な注射法を必要とするか、その注射法についても述べたいと思います。

(資料3:「OC-108の治療メカニズム」)

 今回発売されたOC-108(ジオン)は、中国の北京にある中国中医研究院、広安門医院の史教授らにより開発された、水溶性局所用注射剤の消痔霊を製造上の工夫を加えて改良したものであります。成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を主としております。硫酸アルミニウムカリウムは局所注入部に強い炎症をもたらし、これにより組織の線維化をもたらします。またタンニン酸は、組織に対して収斂作用を有し、タンパク質を凝固させ、血管を収縮させる作用があり、さらに多くの細菌に対して制菌作用を持ちます。つまりジオンを内痔核に注入すると、無菌線維症が惹起され、大量の好中球・リンパ球の浸潤が起こります。しかも血管に対し親和性があり、動脈の内膜炎、血栓形成、静脈炎、血管閉塞を引き起こします。その結果すみやかに出血症状が改善・消失します。また痔核内の血管以外の結合組織において、線維性結合組織が産生・増殖し線維化が形成され、痔核の発生した粘膜層、粘膜下層、および筋層は粘着固定され、痔核は硬化・退縮し、痔核の脱出症状は消失するわけです。

icon OC-108注射手技の実際

 OC-108(ジオン)の注射法ですが、麻酔は局所麻酔もしくは仙骨硬膜外・腰椎麻酔で行いますが、麻酔の目的は単に肛門括約筋の弛緩であり、筋層へ誤って注入しないためにも、強力な麻酔は不要とされています。使用するジオン注射液は、局所麻酔下では0.5%リドカインで2倍に、そして仙骨硬膜外・腰椎麻酔下では生理食塩水で2倍に希釈して使用します。注射方法は4段階注射法といい、痔核上極、痔核中央部の粘膜下層、痔核中央部の表面、そして痔核の下端の4ヵ所に分けて注射します。痔核本体の上極へは、内痔核への動脈血流を減少・遮断することを目的とし、痔核中央部への注射は痔核本体が全面的に硬化・萎縮することを目的とし、痔核下極への注射は胴上静脈の血管の閉塞とパークス靭帯へ癒着させることが目的です。

(資料5:「OC-108四段階注射法」)

 4段階注射手技の実際ですが、第1段階は、上直腸動脈の拍動確認後、痔核の上極に針先を進め、筋層に進入しないようにしつつ2mL、次いで針先を引きながら1mL、計3mLを注入します。以上で粘膜面が白くなります。第2段階ですが、痔核の中央に針を進入し、粘膜、そして粘膜固有層、そして粘膜筋板、そして粘膜下層と針先を進め、筋層の抵抗を確認し、筋層に針先がないことを確認後にOC-108を注入します。量は、痔核の体積+1mL。つまり、通常の痔核の大きさ1〜3mLですから、2〜4mLを注射することとなります。以上で粘膜表面は膨隆せず、色調の変化も認められません。第3段階ですが、第2段階の針を引き抜いてきて、粘膜固有層に第2段階の量の半分程度、1〜2mLを注入します。以上で粘膜表面が膨隆するだけです。第4段階ですが、歯状線の直上から針を頭足に向け、筋層を確認後、粘膜下層最深部に2〜3mLを注入し、針を抜いてきて1mLを追加し注入します。以上の注射終了後、注射部位を指先にてマッサージします。これは薬液の拡散を促進し、過度の炎症を予防し、効果を十分に得るために行います。
 誤った投与法による合併症として、(1)直腸全層を針が穿通し前立腺に注射したときの前立腺炎・副睾丸炎・睾丸炎、(2)として注射部位が浅すぎたりあるいは注射量が多かったときの壊死・出血、(3)歯状線および肛門管皮膚に注射した時の肛門痛、(4)注射量が不足したときの痔核の残存、(5)針先が筋層まで進入され注射量が多いと直腸筋層壊死、(6)痔核上部への過度の薬液の注入による直腸狭窄、以上の合併症がありまして注意が必要となります。
 術後管理です。術後管理ですが、硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸注射液は、吸収されたのち尿中に大部分が排泄されるため、注射当日は補液にて水分を付加し利尿をはかることが必要となります。なお、OC-108の注射は日帰りでも可能ですが、安全のため通常は2日間程度の入院で行っております。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

1 2 3 次項へ