東京理科大学 薬学部 講師
鈴木 政雄
処方せん医薬品に対する販売規制
第2のポイントとして、処方せん医薬品に対する販売上の規制について述べます。
最初にも述べましたように、処方せんがない場合には、一般への販売は、原則として、禁止になりました。只今、「原則として」と述べましたが、それは2つの例外があるからです。その一つは、旧薬事法の規定と同じく、法律の但書き規定によるもので、薬剤師や他の薬局、病院、医薬品製造販売業者等への販売については、この規定は適用されません。他の一つは、旧薬事法になかった「正当な理由」での販売です。この正当な理由については、厚生労働省が次のような8つの場合とそれに準ずる場合を規定しています。
それは、医師等の受診が困難な大規模災害時の場合、地方自治体の実施する医薬品の備蓄、市町村が実施する予防接種、助産師が行う臨時応急の手当、救急救命士が行う救急救命処置、船舶への医薬品の備え付け、教育・研究機関の行う教育・研究、在外公館の職員等の治療のため、などです。今述べました2つの例外を除き、「処方せん」のない人への「処方せん医薬品」の販売は、いかなる事情があっても禁止されており、罰則規定も、従来のものよりも大変厳しくなりました。
処方せん医薬品以外の医薬品に対する販売規制
第3のポイントとして、処方せん医薬品以外の医薬品に対する販売規制があります。
法律の規定ではありませんが、一般用医薬品を除く、処方せん医薬品以外の医療用医薬品の取扱いについては、厚生労働省で通知として明確化しています。
それによりますと、処方せん医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものであり、薬局においては、処方せんに基づく薬剤の交付が原則であることが明記されています。 そしてその取扱い、販売について、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいて、必要な受診勧奨を行った上で、次のことを遵守するように規定しています。
販売は必要最小限の数量に限定すること。通常、薬剤は調剤室又は備蓄倉庫に保管する。薬剤師自らが調剤室での必要最小限の数量を分割すること。販売時には、販売品目、患者の氏名等の販売記録の作成、患者の薬歴管理を実施すること。薬局において、薬剤師が対面により販売すること。又、その他の留意事項として、医療用薬品であるので、一般人を対象とする広告は行わないこと。服薬指導の実施や分割販売にあたるので添付文書を添付すること、などをあげています。
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