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<スズケンDIアワー> 平成17年9月15日放送内容より スズケン

口腔乾燥症改善薬 塩酸ピロカルピン(新剤型)


東京女子医科大学 放射線医学 主任教授
 三橋 紀夫

icon 主な副作用

 一方、副作用についてですが、本剤が副交感神経の刺激薬剤であるため、その薬理作用に基づく、発汗、鼻炎、下痢、頭痛、ほてりなどの症状が程度の差こそあれ、約8割の患者さんに出現します。

(資料9:「主な副作用」)

 特に発汗は、約3分の2の患者さんに認められています。しかしながら、これらの副作用は軽微なものがほとんどであるようです。副作用の発現時期については、投与開始後4週までにほとんどの副作用が発現しており、その後は増加することなく推移します。言い換えますと、投与4週までに、どのような副作用が発現するかを評価することで、継続投与が可能であるか否かを判断できると言えます。有効成分である塩酸ピロカルピンが、古典的な成分であるため、発現する副作用の種類も予測できますので、比較的安心して処方できる薬剤と言えるのではないでしょうか?
 以上、述べましたように軽微な副作用は出現するものの、放射線治療に伴う口腔乾燥症がより重要であることから、多くの患者さんがこれらの副作用とうまく折り合いをつけながら、服用を継続しているようです。

icon まとめ

 最後に、私の考える塩酸ピロカルピンによる頭頸部の放射線治療に伴う口腔乾燥症治療の意義をお話しいたします。まず、第一に従来有効な治療法がなく、著しく低下していた患者さんのQOLを改善すること、これは重要なことではあります。癌の治療を乗り越え、癌からの生還を果たされた患者さんに、より健やかな生活を営んでいただくことはわれわれ医師の願いであります。塩酸ピロカルピンは、口腔乾燥感を改善することはもちろんのこと、口腔乾燥症に伴う会話、嚥下、睡眠の障害を改善しますので、患者さんの健やかな生活のためには、必要不可欠と言えるでしょう。
 また、感染症予防、虫歯の予防という意味でも、塩酸ピロカルピンによる治療が必要となります。特に虫歯についてですが、唾液分泌が低下しているため、口腔内の自浄作用、抗菌作用が低下しており、口腔乾燥症患者さんでは虫歯が多発します。通常、進行した虫歯は抜歯しか治療法がないことが多いのですが、放射線治療を受けた場合、骨の活性が低下することがあり、抜歯後に傷が正常に治癒せずに、骨髄炎に至る危険性があります。よって、抜歯せずに済むように、虫歯を予防すること、すなわち生理的な唾液分泌を促進することが必要となります。
 以上で、塩酸ピロカルピンについてのご紹介を終わりますが、塩酸ピロカルピンが放射線治療に伴う口腔乾燥症に苦しむ患者さんの福音となることを期待しております。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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