→ 番組表はこちら
→ストリーミング版はこちら
<スズケンDIアワー> 平成17年9月29日放送内容より スズケン

添付文書の副作用の中に見られる症候群(5) ギランバレー症候群


帝京大学 名誉教授
清水 直容

icon ギランバレー症候群とは

 スズケンDIアワーで医薬品の添付文書のなかに特に副作用(ワクチンでは副反応)のなかに出ております症候群についてシリーズでお話しして参りました。本日はギランバレー症候群についてお話ししたいと思います。ギランバレー症候群が、記載の件数は10件で、後程医薬品名をお話しいたしますが、最初にギランバレー症候群の概要について簡単に始めたいと思います。
 1916年にギランバレーが初めての症例を報告したのですが、医学の方ではランドリーの上行性麻痺とも呼ばれている疾患です。一言で申しますと、急性・炎症性・脱髄性・多発性の神経根のニューロパシーと言えると思います。
 その病変は脱髄ということですが、これにつきましても後ほどお話しいたします。例えばどういう記載になっているかと申しますと、インフルエンザのHAのワクチンには次のように書かれております。「四肢の遠位から始まる弛緩性の麻痺、腱反射の減弱ないし消失等の症状」と書かれております。そういう時はよく脳脊髄液を採って髄膜炎等を調べますけれども、その特徴は、細胞とタンパクの解離です。細胞数はほとんど増えていない(あったにしてもリンパ球)、タンパク質が増えているというのがこの疾患の場合の特徴です。
 先程申しました脱髄性とはどういうものかと言いますと、神経には軸索という神経繊維(そこを電気が通るわけですが)の周りに髄膜があり、シュワン細胞というものから分泌・合成されているものですが、髄というのは、その軸索の周りにある物質です。
 この疾患が症候群として書かれている医薬品としまして、10品目と申しましたが、多くはワクチン類―インフルエンザのワクチンや、肺炎球菌のワクチンなど、抗菌薬としてはノルフロキサシン、抗真菌剤としてはボリコナゾール、抗ウイルス薬としてサニルブジン、そのほかにリウマチの治療薬のペニシラミン、インフリキシマブ、そのほか乾燥スルホ化人免疫グロブリン、最後10番目ですが抗悪性腫瘍剤のクラドリビンがあります。

icon ギランバレー症候群の病態

 ギランバレー症候群の病態の基礎的なことをちょっと勉強してみたいと思います。

(資料4:「ギランバレー症候群病態の基礎」)

 神経細胞というのは細胞から軸索という線維の筋があります。これを取り巻く、電気が走る周りの絶縁体に相当するもの、それが髄鞘と呼ばれているものでして、ギランバレー症候群はこの髄鞘の変性であり、脱髄と呼ばれている状態であります。その髄鞘には、主としてガングリオシドという糖脂質が存在しており、それに対していろいろな自己抗体等ができ、そこに変性が起こるとこの疾患が起こってくるわけです。どういう物質があるかにつきましては後程お話しいたしますが、神経とは情報の伝達系、すなわち人間の体の情報の伝達というのは大きく分けますと2つあります。これは我々の世の中もそうですが、電信電話のような非常にケーブルを通った速いものと、郵便のようなメディアの量としては多いけれどもゆっくりしたもの、これはいわゆるホルモン、血管内に分泌されてそれが血管の中を通って受容体に作用する、そういう大きな神経とホルモンというものが情報伝達の大事なシステムですが、今回のこの病気は神経の情報伝達が起こらなくなる。
 あらゆる神経の情報の発生源は運動の神経などですと脳ですけれども、それが脊髄を通り、末梢神経となって運動神経、あるいは末梢の知覚を中枢に伝えるという感覚神経、そういうものになるわけですけれども、先ほど申しましたように神経の軸の周りにある髄がそこの変性により、その神経の伝達がうまくいかないという病気です。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

1 2 3 次項へ