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<スズケンDIアワー> 平成17年10月6日放送内容より スズケン

PET用診断薬−フルオロデオキシグルコース


獨協医科大学病院PETセンター センター長
村上 康二

icon はじめに

 本日お話をするフルオロデオキシグルコース(FDG)はPET検査で使用される検査薬ですが、検査薬の中でも弱い放射線をだすラジオアイソトープで標識をした薬剤であり、特別に放射性医薬品と呼ばれる種類のものです。
 PETも正式にはポジトロン CT(Positron Emission Tomography)の頭文字をとったものです。これからPET検査の基礎を述べ、次に腫瘍イメージングを中心にPETの有用性を概説いたします。

icon PET検査のメカニズム

 PETの原理ですが、PETで使用される放射性元素はプラスの電荷を持つ電子を放出して崩壊するため(β+崩壊と呼びますが)陽電子(ポジトロン)放出核種と呼ばれます。放出された陽電子は近くにある電子と衝突すると消滅し、ちょうど電子1個分の質量に相当するエネルギーを持つ2本のγ線に変換されます。2本のγ線は180度方向に放出されるために、リング状に検出器を配列することより、あるγ線を同時に検出した検出器を結ぶ直線上にγ線の発生源があることがわかります。一方、従来の核医学検査で使用されているγ線を放出する放射性同位元素は単光子放出核種と呼ばれます。陽電子放出核種は単光子放出核種と異なり、軽い元素が多く、医療用には11C、13N、15O、18Fなどが頻繁に使用される核種です。(注:今年9月からFDGの商業的供給が開始されました)。

(資料3:「単光子放出核種と陽電子放出核種」)

 これらの放射性元素は生体構成物質そのものであるため、生理・生科学的活性物質に直接標識できます。つまり体内におけるトレーサーの分布や代謝が正確であり、しかも薬剤が安定しています。この理由により放射性医薬品による副作用は極めて少なく、不純物の混入がないかぎり、FDGそのものに起因する副作用はまったくありません。一方、陽電子放出核種は半減期が非常に短いことも特徴です。この特徴は患者さんの被曝量が少ない点では長所ですが、合成時間が限られ、薬剤の供給が困難という点では短所になります。したがって、現在、薬剤はすべて病院内に設置されたサイクロトロンと合成装置で製造され、PET検査のコストを上昇させる大きな要因となっています。ちなみにFDGの半減期は約110分です。(注:2005年9月から商業的供給が開始されました。)

(資料5:「グルコースと18F-FDG」)

 ところで、FDGはグルコースの類似体であり、化学構造上はC-2の位置の水酸基が18Fに置き変わったものです。体内に投与されたFDGは細胞膜を通過してG-6-PO4まではグルコースと全く同じ代謝経路をたどりますが、それ以上は反応が進みません。

(資料6:「代謝経路図」)

 つまり取り込まれたFDGは細胞内に蓄積することになります。がん細胞は正常細胞よりも糖代謝が活発なため、FDGが癌組織に高濃度で集積するので、ここから強く放出される放射線を特殊なカメラで捉えるのがPET検査の原理になります。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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