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<スズケンDIアワー> 平成17年11月10日放送内容より スズケン

最近のHIV治療薬について


独立行政法人国立病院機構大阪医療センター
HIV・AIDS先端医療開発センター長
白阪 琢磨

icon エイズとは

 HIV治療薬の進歩によってHIV感染症/AIDSは慢性疾患と捉えられる様になりました。今日は、最近の抗HIV薬につきお話ししたいと思います。その前に、まずエイズとはどういう病気かを簡単にご説明しましょう。
 エイズという病気の世界最初の報告は、1981年の暮れにNew England Journal of Medicineという臨床誌に掲載されたのに始まります。その報告は、アメリカの西海岸や東海岸に住んでいたゲイや麻薬静注者達の間で、免疫不全症が流行しているという内容でした。この疾患は、後に後天性免疫不全症候群(英語の頭文字を取ってAIDS)と正式に呼称される様になりました。やがて、エイズ患者から原因ウイルスが分離・同定され、このウイルスはヒト免疫不全ウイルス、英語で略してHIVと名付けられました。HIVは私達の体内の免疫担当細胞であるCD4陽性T細胞という名のリンパ球に選択的に感染をします。このHIVが感染した細胞はゆっくりと破壊されていきますので、次第に免疫力が低下し、やがて免疫不全の状態に陥ります。この病態をAIDSと言います。現在では、HIVに感染した以後の臨床経過全体をHIV感染症と呼び、病気が進行し免疫不全状態に陥り、定められた23の特徴的疾患の一つ以上を呈した病態をAIDSと定義しています。つまり、AIDSはHIV感染症の進んだ病期と言えます。

icon HIV感染症の治療

 さて、今日のテーマのHIV感染症の治療について、お話しを致します。
 先ほど、大きな進歩があり、現在HIV感染症は慢性疾患になったというふうなことを申しましたが、例えば、当院では、現在までに800名を越える感染者が受診されました。

(資料4:「累積患者数の推移」)

 受診後に病状が進んだ患者さんは少なく、多くの方がキャリアのままです。治療によってHIV感染症の進行を抑えることができていると言えます。
 さきほど1981年に初めて病気が報告されたことを言いましたが、エイズの原因ウイルスであるHIVが分離・同定されたのが1983年です。その後、世界の国々でエイズ治療薬の開発が進められ、わずか2年後に、当時米国の国立癌研究所で研究をされていました満屋裕明先生が、世界最初の抗エイズ薬AZTの開発に成功され、その後、AZTと同じクラスの逆転写酵素阻害薬としてddI、3TC、d4Tなどが開発されました。これらは核酸系逆転写酵素阻害薬と呼ばれています。1996年には新しいクラスの抗HIV薬であるプロテアーゼ阻害薬が出現し、あい前後して非核酸系逆転写酵素阻害薬が登場しました。ネビラピンやエファビレンツがそれです。これらの作用は逆転写酵素の働きを阻害する薬ですがAZTなどとは化学構造が大きく異なり、作用機序も異なるので非核酸系逆転写酸素としてAZTなどと別のクラスにまとめられています。 

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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