<スズケンDIアワー> 平成17年12月29日放送内容より |
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NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男 「医薬品・医療機器等安全性情報」は、厚生労働省(旧厚生省)が収集した副作用をもとに行った重要な添付文書の改訂などを医療関係者に直接提供するために発行される文書です。
SJSの初期症状は、発熱、左右対称的に、関節の背面を中心に紅斑(target lesion等)が出現し、急速に紅斑の数が増え、重症化するにつれて、水疱、びらんを生じて、融合します。眼、口腔粘膜、外陰部などの粘膜疹を伴うことも多く、検査所見では白血球増多、赤沈亢進、CRP陽性などを示します。発熱などの全身症状とともに、多形滲出性紅斑様皮疹(target lesion)、広範な粘膜疹が急激に生じます。また、肺炎等の呼吸器障害や肝障害等の合併症を来し、その死亡率は6.3%との報告があります。
一方、TENは、発熱や腋窩、外陰部、体幹などに広範囲な紅斑が出現した後、急速に水疱を生じます。この水疱は破れやすくニコルスキー現象といわれ、全身びらん症状を表します。II度の熱傷に以て、疼痛も著明です。検査所見では血液、肝、電解質、などに異常を認めることが多く、肝障害、腎障害、呼吸器障害、消化器障害等の多臓器障害の合併症をきたし、死亡率も高く、20〜30%とする報告が多くみられます。
発症原因としては単純疱疹ウイルス、肺炎マイコプラズマ、細菌、真菌等の種々のウイルスや細菌による感染症、医薬品、食物、内分泌異常、悪性腫瘍、物理的刺激などによって起こるアレルギー性の皮膚反応(III型アレルギー)と考えられています。
医薬品が原因となる場合が多いとされており、SJSの59%、さらにTENの90%以上は医薬品が原因と推定されたとの報告もみられます。これら皮膚疾患の発症機序の詳細はいまだ明らかとはいえません。また、これら重篤な皮膚疾患の発症を医薬品の投与に先立って予知することは非常に困難であるといわれています。
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