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<スズケンDIアワー> 平成17年12月29日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全性情報-最近の話題(2)-


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

icon 医薬品による重篤な皮膚障害

 「医薬品・医療機器等安全性情報」は、厚生労働省(旧厚生省)が収集した副作用をもとに行った重要な添付文書の改訂などを医療関係者に直接提供するために発行される文書です。
 今回は平成17年10月に発行された「医薬品・医療機器等安全性情報」No.218の中から医薬品による重篤な皮膚障害についての報告等について紹介します。
 医薬品の副作用として皮膚障害が発現することはよく知られています。重篤なものとしては、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群:Stevens-Johnson syndrome)、中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis)があります。
 今回はスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)について、平成17年9月30日までに報告された副作用報告の状況等について紹介します。なお、今回からは一般用医薬品に関する情報もまとめています。
 SJSは、重症型多形滲出性紅斑(erythema exsudativum multiforme major:EEMM)と同義語とされています。これらの皮膚疾患の中で最も重篤とされているのがTENです。
 TENは、ライエル症候群(Lyell syndrome)とも呼ばれます。なお、類似症状を示す疾患としてブドウ球菌性中毒性表皮壊死症(staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)や輸血後の移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)などがあります。
 これらの発生頻度は、人口100万人当たり各々年間1〜6人、0.4〜1.2人と極めて低いものの、発症すると予後が不良となる場合があり、皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器官等に障害を残すこともあります。

icon SJSとTENの臨床像

 初期症状と臨床経過についてですが、

(資料2:「スティーブン・ジョンソン症候群」)

 SJSの初期症状は、発熱、左右対称的に、関節の背面を中心に紅斑(target lesion等)が出現し、急速に紅斑の数が増え、重症化するにつれて、水疱、びらんを生じて、融合します。眼、口腔粘膜、外陰部などの粘膜疹を伴うことも多く、検査所見では白血球増多、赤沈亢進、CRP陽性などを示します。発熱などの全身症状とともに、多形滲出性紅斑様皮疹(target lesion)、広範な粘膜疹が急激に生じます。また、肺炎等の呼吸器障害や肝障害等の合併症を来し、その死亡率は6.3%との報告があります。

(資料3:「中毒性表皮壊死症」)

 一方、TENは、発熱や腋窩、外陰部、体幹などに広範囲な紅斑が出現した後、急速に水疱を生じます。この水疱は破れやすくニコルスキー現象といわれ、全身びらん症状を表します。II度の熱傷に以て、疼痛も著明です。検査所見では血液、肝、電解質、などに異常を認めることが多く、肝障害、腎障害、呼吸器障害、消化器障害等の多臓器障害の合併症をきたし、死亡率も高く、20〜30%とする報告が多くみられます。

icon 発症原因

 発症原因としては単純疱疹ウイルス、肺炎マイコプラズマ、細菌、真菌等の種々のウイルスや細菌による感染症、医薬品、食物、内分泌異常、悪性腫瘍、物理的刺激などによって起こるアレルギー性の皮膚反応(III型アレルギー)と考えられています。

(資料4:「原因医薬品」)

 医薬品が原因となる場合が多いとされており、SJSの59%、さらにTENの90%以上は医薬品が原因と推定されたとの報告もみられます。これら皮膚疾患の発症機序の詳細はいまだ明らかとはいえません。また、これら重篤な皮膚疾患の発症を医薬品の投与に先立って予知することは非常に困難であるといわれています。
 原因医薬品は、主に抗生物質製剤、解熱鎮痛消炎剤、抗てんかん剤、痛風治療剤、サルファ剤、消化性潰瘍用剤、催眠鎮静剤・抗不安剤、精神神経用剤、緑内症治療剤、筋弛緩剤、高血圧治療剤など広範囲にわたっていますが、その他の医薬品によっても発生することが報告されています。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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