神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器科医長
綿貫 祐司
塩酸モキシフロキサシンの構造活性
本日は新しいニューキノロン系抗菌薬塩酸モキシフロキサシンの概要についてお話しをさせていただきます。
本薬は、新規の経口キノロン系合成抗菌薬で、化学構造上も7位にピロロピリジン基、8位にメトキシ基を付加した構造であり、レスピラトリーキノロンとしてグラム陽性菌をはじめとした呼吸器感染症の主要な原因菌に対してすぐれた抗菌活性と高い安全性を有しています。1999年にドイツ・米国で承認されて以来、世界85カ国以上で使用されており、わが国では2005年10月に承認を得て12月上旬に12番目の経口ニューキノロン薬として発売に至りました。
1962年に合成されたキノロン系薬はグラム陰性菌に対してのみ抗菌活性を示すことから、尿路、胆道、腸管感染症に有効な抗菌薬として使用されました。1980年代になると、キノロン基本骨格の6位にフッ素を付加することで抗菌活性が飛躍的に向上し、フルオロキノロンあるいはニューキノロンと命名されました。抗菌スペクトルは当初、グラム陽性の連鎖球菌属には抗菌力は劣っていましたが、呼吸器感染症の最重要菌である肺炎球菌をはじめとしたグラム陽性菌に対する抗菌活性を向上させたのがレスピラトリーキノロンです。レスピラトリーキノロンにはトスフロキサシン、スパルフロキサシン、高用量のレボフロキサシンがあり、近年グラム陽性球菌にさらに強い抗菌活性を持つガチフロキサシンに続いて、今回モキシフロキサシンが発売されました。
|