日本大学薬学部薬事管理学
教授 白神 誠
薬価改正のための薬価調査
薬価基準の全面改正が行われたため、今回ご紹介する「新たに薬価基準に収載された新医薬品」はありません。
そこで 4月1日から実施された薬価基準の全面改正の概要についてお話しします。薬価基準は原則2年ごとに全面見直しが行われます。薬価は保険から支払われる金額の基準となる価格ですが、それが固定されるために、実際の取引価格とは乖離が生じます。その乖離が著しいものについて、その実勢価に合わせる形で薬価を改めるのが、薬価の全面改正です。
実際の取引価格は薬価調査によって把握します。今回の薬価改正のための薬価調査(薬価本調査)は、昨年9月取引分について、10月に調査を行いました。調査は販売サイドとして全卸業者(約3,800社)と、購入サイドとして全国の病院、診療所、薬局から抽出した約3,300機関の協力で行われました。薬価基準収載全品目を対象としていますので、薬価基準に一般名で収載されているものも含めて約18,000品目が調査対象となりました。
薬価調査は 1回だけですと、その信頼性に問題が生じる恐れもあるので、通常は薬価本調査をはさむような形で何回か調査が行われます。ひとつはほぼ抽出された延べ約2,800の卸売業者の協力で行われる自計調査と呼ばれるもので、全品目について5月取引分と11月取引分の合計を調査しました。もうひとつは厚生労働省の職員等が調査を行う他計調査と呼ばれるもので、8月取引分と10月取引分が調査されました。
薬価の算定方法について
個々の品目の薬価は、2月15日の中医協において了解された「薬価算定の基準」に基づき、市場実勢価格加重平均値調整幅方式により算定されました。

具体的には、薬価調査の結果からその品目の税抜き市場実勢価格を求め、これを保険医療機関や保険薬局における薬価算定あたりの平均的購入価格とし、これに消費税を掛けて、さらに調整幅を加えて新しい薬価としています。調整幅とは薬剤流通の安定のためのものとされており、改定前の薬価の2%を加えることとされました。

この市場実勢価加重平均値調整幅方式に加えて、後発品のある先発品の薬価改定、再算定による改定、低薬価品にかかる改定も行われ、全体で6.7%、医療費ベースで1.6%の引き下げとなっています。
このうち後発品のある先発品の薬価改定は、前回平成14年、平成16年の改定に引き続いて行われたもので、後発品が収載されて最初の薬価改定に該当する先発品の薬価算定においては、市場実勢価加重平均値調整幅方式による算定値から、昭和42年10月1日以降昭和55年9月30日までに収載された既収載品では6%、昭和55年10月1日以降に収載された既収載品であって、平成9年度薬価改定において当時の算定方式における一定価格幅が8%とされたものまたは平成10年度薬価改定において一定価格幅が2%とされたものは7%、これら以外の既収載品は8%引き下げられました。また今回限りの措置として平成14年または平成16年の薬価改定でこの後発品ある先発品の薬価改定の対象となり引き下げられたものについて2%の引き下げが行われました。
|