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<スズケンDIアワー> 平成18年5月11日放送内容より スズケン

過活動膀胱治療薬ソリフェナシン


福島県立医科大学泌尿器科
教授 山口 脩

icon 過活動膀胱治療薬開発の動向

 過活動膀胱とは、尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁など、QOLを損なう不快な症状をきたす疾患であります。また、最近の疫学調査から、我が国では約810万人の患者のいることが明らかとなり、その患者数の多さからも今話題の一つになっている疾患の一つであります。
 過活動膀胱(Overactive Bladder:以下OAB)にはいろいろな治療法が用意されています。しかし治療の中心となるのは、抗コリン薬を用いた薬物療法であります。現在、代表的な抗コリン薬として、オキシブチニンとプロピベリンが使われています。
 ところで、優れた有効性と安全性を求めて、新しい抗コリン薬が世界中で研究されています。日本ではソリフェナシンが創薬され、欧州、米国、本邦において、その開発が進められてきました。このソリフェナシンは、欧州と米国では先に承認され、数年前から使われております。我が国では(2006年)4月20日に承認され、近日発売の予定となっています。そこで本日は、このソリフェナシンについて解説いたします。

icon ソリフェナシンの臨床成績

 最初に薬剤の適応症を見ますと、プロピベリンのような既存の抗コリン薬は、神経因性膀胱あるいは不安定膀胱による尿失禁・頻尿治療剤であります。これに対し、ソリフェナシンは、過活動膀胱そのものを適応とした新しい治療薬であります。
 次に、ソリフェナシンの第III相試験から、本剤の特徴を見ることにいたします。この第III相試験では、OABの患者を対象に、ソリフェナシン5mgおよび10mgのプラセボに対する優越性と、既存の治療薬であるプロピベリンに対する非劣性を検討しました。

(資料1:「過活動膀胱における諸症状に対する効果」」)

 その結果について述べますと、OABの症状である尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁に対するソリフェナシンの改善効果はきわめて高く、5mg および10mgのソリフェナシンは、投与開始から4週目でこれらの症状を改善させ、12週目の最終評価時において、それぞれの症状の発症回数をプラセボと比較し有意に減少させることが明らかとなりました。

(資料2:「1回排尿量に対する効果」)

 また、1回排尿量すなわち膀胱容量についても、ソリフェナシン5mg および10mgは、投与開始後4週目から増加させ、最終評価時においても、プラセボと比較し1回排尿量を有意に増加させています。
 これを詳しく解析しますと、頻尿、尿意切迫感および1回排尿量については、ソリフェナシンの改善効果は用量依存性であり、5mgよりも10mgの方がより高い改善効果を示しました。一方、切迫性尿失禁に対しては、5mgで既に最大効果に到達してしまうため、10mgとの差は見られませんでした。
 さらに、ソリフェナシンがOABの各症状を、どの程度正常化するかについて検討したところ、頻尿を有する患者のうち、5mg投与では29%、10mg投与では37%の患者が正常な排尿回数へと戻りました。尿意切迫感については、それを有していた患者のうち、33%および37%の患者で消失が認められました。さらに、切迫性尿失禁に至っては、5mg投与で56%、10mg投与で60%もの患者で完全に消失するという結果でありました。
 このように、ソリフェナシンは、OABの各症状を確実に改善させると共に、切迫性尿失禁を有する患者の半分以上で尿失禁の消失が認められ、ソリフェナシンのOABに対する優れた有効性が実証されたと言えます。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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