東京女子医科大学精神医学
教授 石郷岡 純
パニック障害にける臨床試験成績
以上がうつ病に対する臨床試験の成績でしたが、この薬物ではパニック障害に対する試験も行われております。日本におけますパニック障害の成績は72.7%に有効性が認められたというものであります。このパニック障害に対しても先ほどのうつ病と同様のランダム化治療中止試験というのが行われております。

この図をご覧になっていただきたいと思いますが、はじめ8週間のオープン試験を行った後に、プラセボ群およびセルトラリン群に割り付けて再燃を見たものであります。

最終的な段階では残念ながら有意差は認められませんでした。この理由は、途中で来院しなくなった患者さんが多かったため、4〜5週間程度のところでは非常に大きな差が出ておりますが、その後の再燃率が差が縮まったために最終的な有意差は認められなかったわけであります。しかし、4週ないし5週間のあたりでの再燃率が低いということがこの図からはおわかりになっていただけると思います。
また、この試験におけますはじめのオープン期の改善率は74.3%でありましたが、プラセボ群はその後も改善率が上昇致しませんでしたが、セルトラリン群では89.9%まで上昇したということで、飲み続けることによって改善率は徐々に上がっていくということがわかるわけです。

また、パニック障害の主要な症状でありますパニック発作の回数は、やはりセルトラリン群では発作回数がプラセボ群よりも少なくなっていくということが認められております。また、パニック障害を評価しますPDSSという評価尺度でも有意な現象が認められました。 |