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<スズケンDIアワー> 平成18年7月6日放送内容より スズケン

早発排卵防止薬セトロレリクス


慶應義塾大学産婦人科
講師 久慈 直昭

icon GnRHとLH分泌

 では、セトロレリクスはどのようにして下垂体からのLH放出を抑えているのでしょう。

 脳下垂体からのLHの放出は、視床下部からGnRHというホルモンが出て、下垂体のGnRH受容体を刺激することによって起こるのですが、セトロレリクスはこのGnRH受容体へ結合して受容体をマスクし、GnRHが結合できなくすることによってLHの放出を抑える、競合阻害によるGnRH拮抗薬です。

(資料4:「セロトレリクスとGnRH作動薬の下垂体抑制」)

 受容体に結合する力が非常に強いため、投与直後から早すぎるLH放出を抑える効果を現すことができます。また受容体数そのものは減少しないため、投与を中止すれば直ちに下垂体のLH放出細胞はもとの状態に戻って、GnRHに反応することができるという特徴があります。
 これまでも、早すぎるLHサージを抑えるため長い間ブセレリン、リュープロライドといったGnRH作動薬、いわゆるアゴニストが使用されてきました。このGnRH作動薬は、まず本来の作用である下垂体刺激作用を数日間あらわした後、持続的に下垂体に刺激を与える続けることによって下垂体の細胞を反対にGnRHに反応できなくします。これは下垂体にあるLH放出細胞上のGnRH受容体数が減少するためで、この時期にはいると、下垂体がGnRHに反応しなくなるためLHサージを防止することができます。
 しかし、従来使われてきたこのGNRH作動薬は、LHサージを抑えるために通常前の周期高温期から2週間程度の長期投与が必要であるために、いくつかの欠点を持っていました。たとえば高温期にGNRH作動薬の下垂体刺激作用でLHが放出され、黄体が刺激されて卵巣に機能性嚢種が発生したり、偶然妊娠が成立している周期の高温期に薬剤を誤投与する心配がありました。また長期に投与することで症例によってはかえって卵巣の反応性が悪くなって採取できる卵子の数が減ってしまったり、頭痛などの更年期症状が発症することもありました。
  セトロレリクスは、これまでのGnRH作動薬と比較して作用開始が迅速であり、最初の下垂体刺激作用もないために、LH放出が起こりやすくなる卵胞期後期のみの、非常に短期間の投与で十分な効果が得られるので長期投与による副作用がありません。またこのように卵胞期初期に抑制をかける必要がないために、患者さん本人の卵胞発育機能を利用する自然周期やクロミッド周期でも、LHサージ抑制に用いることができます。さらに、卵胞発育の初期にGnRH作動薬を投与すると卵子に悪影響をおよぼすような患者さんには、セトロレリクスを使用すると得られる卵子の質がよくなるような場合も臨床的にはしばしば経験します。

提供 : 株式会社スズケン

    

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