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<スズケンDIアワー> 平成18年7月6日放送内容より スズケン

早発排卵防止薬セトロレリクス


慶應義塾大学産婦人科
講師 久慈 直昭

icon セトロレリクスの使用法と副作用

(資料5:「GnRH作動薬」)

 最も基本的なセトロレリクスの使用法は、月経の三日目よりhMG製剤を連日投与、hMG投与6日目からセトロレリクスをゴナドトロピン製剤とともに、卵胞が成熟するまで連日併用してLH放出を抑制し、その後hCGを投与して採卵を行う方法です。これを固定周期法と呼んでいます。このほかに、患者さんの卵子の育ち具合にあわせて、最も適当と思われる時期に投与を始めるフレキシブル法という投与法もあります。
 また、セトロレリクスは注射薬なので、注射の回数をへらすためにセトロレリクスの1回投与量を増やすことによって何日か下垂体抑制効果をださせて、投与回数を減らす工夫もなされています。

(資料6:「セトロレリクス・Buserelinを併用したhMG刺激周期」)

 実際にセトロレリクスを使用した188周期と従来のGnRH作動薬を使用した85周期の体外受精の結果を比べた報告では、セトロレリクス周期でhMG投与量・期間ともあきらかに短くてすむことがわかっています。取れる卵の数は従来のGnRH作動薬に比べてやや少な目ですが、HCG投与日のE2値も低値で、OHSS発生のリスクが低いことが推察されます。

(資料7:「欧州での第U/V相試験及び・・・・認められた副作用」)

 副作用については、欧州での治験、および本邦での結果からも、注射部位の一過性の発赤や軽い頭痛が認められたのみです。特に注射部の発赤は、この薬剤の持つごく弱い局所的なヒスタミン遊離作用によるもので、あらかじめ説明しておいた方が、患者さんが安心して使用できるでしょう。経口薬ではなく注射薬であるハンデはありますが、感触としては非常に使いやすい薬剤です。

icon セトロレリクスの効果

 妊娠率は、症例をえらばないで固定周期法を使用した場合には、セトロレリクスはGnRH作動薬を使用した方法に比べ、やや低いと報告されており、使用法や症例の選択についてはまだこれから改良していく点があるようです。ただ、前に述べたGnRH作動薬で卵子が悪くなってしまうような症例や、GnRH作動薬が使用できないクロミフェン、あるいはクロミフェンとhMGを併用した周期に用いるなど、GnRH作動薬では妊娠にいたらない症例には試す価値の十分ある薬剤といえます。また妊娠・分娩・新生児への安全性については、妊娠経過・新生児にもとくに異常が多くならないことが報告されており、欧米では5年以上前から広く使用されています。

icon まとめ

 このように、セトロレリクスはとくに体外受精法における卵巣刺激において、卵胞発育初期にGnRH作動薬の影響を避けることができ、hMG所用量の減少による通院期間の短縮、OHSS発生率の低減、妊娠中投与の可能性が低下するなど、様々な利点を持っています。これまで述べたように、固定周期法のみでは従来のGnRH作動薬に比べて一律に妊娠率がよくなるとはいえませんが、この薬剤の高い調節性を用いて、さらに独創的な用い方、あるいは症例にあったきめ細かい投与法で、いままで治療不可能だった症例に福音をもたらす可能性を持っています。

(資料8:「まとめ」)

提供 : 株式会社スズケン

      

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