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<スズケンDIアワー> 平成18年7月27日放送内容より スズケン

新薬の薬価算定根拠について(15)


日本大学薬学部薬事管理学
教授  白神 誠

icon 4月28日薬価基準に収載された医薬品から

 前回の放送以降、薬価基準に収載された新医薬品の薬価算定根拠について説明します。

(資料1:「ユリーフカプセル・プラビックス錠の算定根拠」)

 はじめは、ユリーフカプセルです。成分名はシロドシンで、キッセイ薬品工業の開発です。シロドシンは、α1受容体遮断作用を有し、前立腺肥大症に伴う排尿障害を効能効果とします。効能効果、薬理作用等が類似している塩酸タムスロシンの製剤であるアステラス製薬のハルナールD錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(T)で算定が行われました。手術しかできなかったものが本剤により、かなりよくなるとのことであり、対象疾病の治療方法の改善が示されていると判断され、有用性加算(U)が適用されました。
 次は、プラビックス錠です。成分名は、硫酸クロピドグレルで、サノフィ・アベンティスの開発です。硫酸クロピドグレルは、ADP受容体拮抗作用による血小板凝集抑制作用を有し、心原性脳塞栓症を除く、虚血性脳血管障害後の再発抑制を効能効果とします。効能効果、薬理作用等が類似している、塩酸チクロピジンの製剤である第一製薬のパナルジン錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(T)で算定が行われました。類似薬に比して高い安全性が示されており、かつ本剤による対象疾病の治療方法の改善が示されていることが勘案され、有用性加算(T)が適用されました。

(資料2:「フェマーラ錠・ゴナールF皮下注射用の算定根拠」)

 次はフェマーラ錠です。成分名はレトロゾールで、ノバルティス ファーマの開発です。レトロゾールはアロマターゼ阻害作用を有し、閉経後乳癌を効能効果とします。効能効果、薬理作用等が類似している、アナストロゾールの製剤であるアストラゼネカのアリミデックス錠を比較対照薬に類似薬効比較方式(T)で算定が行われました。本剤による対象疾病の治療方法の改善が示されていることが勘案され、有用性加算(U)が適用されました。
 次は、ゴナールエフ皮下注用です。成分は遺伝子組換えのホリトロピンアルファで、セローノ・ジャパンの開発です。ホリトロピンアルファは、ゴナドトロピン作用を有し、低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症における精子形成の誘導を効能効果とします。同様の薬理作用、化学構造等を持つ類似薬がないため、薬価は原価計算方式により算定されました。申請者によればピーク時でも本剤の投与患者は1200人程度と予測されています。

(資料3:「マグセント注・オゼックス点眼液の算定根拠」)

 次は、マグセント注です。成分は硫酸マグネシウムとブドウ糖で、東亜薬品工業の開発です。硫酸マグネシウム・ブドウ糖は、子宮収縮抑制作用を有し、切迫早産における子宮収縮の抑制を効能効果としています。同様の効能効果、薬理作用等を持つ類似薬がないため、薬価は原価計算方式により算定されました。
 次は、オゼックス点眼液及びトスフロ点眼液です。成分は、トシル酸トスフロキサシンで、オゼックス点眼液は富山化学工業の、またトスフロ点眼液はニデックの開発です。トシル酸トスフロキサシンはDNA合成阻害作用を有するニューキノロン系の抗菌剤で、既に経口剤が開発されており、今回これを点眼剤としたものです。効能効果、薬理作用等が類似している、レボフロキサシンの製剤である参天製薬のクラビット点眼液を比較対照薬に類似薬効比較方式(T)で算定が行われました。本剤の用法及び用量に小児に関わるものが明示的に含まれていることから、小児加算が適用されました。小児加算は、平成18年度の薬価制度改革で新たに設けられたものですから、その適用第一号となったわけです。

(資料4:「ロキソニンパップの算定根拠」)

 次は、ロキソニンパップです。成分はロキソプロフェンナトリウムで、リードケミカルの開発です。ロキソプロフェンナトリウムは、プロスタグランジン生合成阻害作用等を有するプロピオン酸系消炎鎮痛剤で、経口剤が開発されており、今回これをパップ剤としたものです。最も類似した製品としてケトプロフェンのパップ剤である久光製薬のモーラスと埼玉第一製薬のミルタックスが選定されましたが、非ステロイド性消炎鎮痛剤のパップ剤は既に三つ以上あり、補正加算の対象ともならないことから、類似薬効比較方式(U)で算定されました。類似薬効比較方式(U)のルールに従い、最も類似した製品を比較対照薬として算定した1日薬価、直近に収載された類似薬の1日薬価、過去20年間に薬価収載された類似薬の平均1日薬価、過去15年に薬価収載された類似薬の最低1日薬価を比較した結果、過去20年間に薬価収載された類似薬の平均1日薬価が最も低かったことから、これが算定薬価とされました。
  以上の新医薬品は4月19日の中医協総会で審議され、4月28日に薬価基準に収載されました。

 
提供 : 株式会社スズケン

      

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