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<スズケンDIアワー> 平成18年8月31日放送内容より スズケン

抗てんかん薬 ガバペンチン


むさしの国分寺クリニック
院長 大沼 悌一

 本日は、抗てんかん薬ガバペンチンについてご紹介させていただきます。

icon てんかん治療の現状

 てんかん治療では、抗てんかん薬による薬物治療が主体となっていますが、既存の抗てんかん薬では発作を十分にコントロールできない患者さんが20〜30%存在するといわれています。しかしながら、我が国では2000年にクロバザムが発売されて以来、新薬は発売されておらず、ここ10年間で数多くの新しい抗てんかん薬が発売されている欧米に比べて、てんかん治療に大きな遅れをとっているといわざるをえません。ガバペンチンはこのような状況の中、承認された待望の抗てんかん薬で、すでに海外では、1993年に米・英国で承認されて以来、世界68ヵ国でてんかん治療に使用されており、10年以上もの臨床実績をもつ薬剤です。

icon ガバペンチンの新しい作用機序

 ガバペンチンの薬理作用ですが、本剤は抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)に類似の構造を有していますが、GABA受容体に対する活性がないことが明らかとなっています。

(「構造式」)

 ガバペンチンの作用機序は未だ十分に明らかにされているとは言えませんが、これまでの抗てんかん薬とは異なる新たな作用機序により抗けいれん作用を発現すると考えられています。

 その作用機序は、現在2つの機序が推定されております。その1つは、電位依存性カルシウムチャネルへの結合を介した、興奮性神経伝達物質の遊離抑制です。ガバペンチンは電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合してカルシウムイオンの流入を阻害し、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することで抗けいれん作用を発現すると考えられています。

(「ガバペチン投与後の後頭新皮質内GABA量の増加」)

 もう1つの機序としては、脳内GABA量の増加とGABAトランスポーターの活性化によるGABA神経系機能の維持・増強が考えられています。海外でてんかん患者6例にガバペンチン1200mgを単回投与したところ、1時間以内に脳内のGABA濃度が著明に増加し、その影響は5時間以上持続したという報告がありますが、どのような機序により脳内GABA量を増加させるかは、まだ解明されていません。
 ここで、ガバペンチンの作用部位の1つである電位依存性カルシウムチャネルについて、もう少し詳しく説明をさせていただきたいと思います。
電位依存性カルシウムチャネルには、弱い脱分極でも活性化され、すぐに不活化するLVA型と、強い脱分極で活性化され、活性化が持続するHVA型があります。現在販売されているバルプロ酸、エトスクシミドなどの抗てんかん薬は、LVA型のT型カルシウムチャネルを抑制することにより抗けいれん作用を発現すると考えられています。一方、ガバペンチンはHVA型のカルシウムチャネルを抑制することにより作用すると考えられており、現在販売されている抗てんかん薬とは異なるタイプのカルシウムチャネルに作用します。これがガバペンチンは今までの抗てんかん薬とは異なる新たな作用機序をもつといわれている理由です。新たな作用機序をもつガバペンチンを併用することにより、抗けいれん作用の増強が期待できます。

提供 : 株式会社スズケン

      

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