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<スズケンDIアワー> 平成18年9月7日放送内容より スズケン

乳幼児用気管支喘息治療薬 ブテソニド吸入液


あいち小児保健医療総合センターアレルギー科
医長 伊藤 浩明

icon気管支喘息治療・管理ガイドライン

 気管支喘息の主な病態は気道の慢性炎症であり、喘息治療の主役が吸入ステロイドであることは、広く認識されています。これは、小児気管支喘息でも例外ではなく、吸入ステロイドによる積極的な抗炎症治療を行うことが、気道のリモデリングを防止して喘息の慢性化・重症化を防止すると考えられています。
 小児気管支喘息の発症年齢は、以前と比較して低年齢化しており、発症年齢のピークは1-2歳で、喘息を持つ児童の約60%は、2歳までに発症しています。小児の喘息のよりよい予後を確立するためには、発症早期からの早期介入(early intervention)が重要です。
 日本小児アレルギー学会が作成した小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005では、2歳未満の乳児喘息を積極的に診断して早期治療を促すために、乳児喘息の診断基準として、「気道感染の有無にかかわらず、明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返した場合に、乳児喘息と診断する」と記載しています。日常診療でよく用いられる「喘息様気管支炎」という診断であっても、呼気性喘鳴が3回以上確認されれば、乳児喘息としてearly interventionを開始することが推奨されているわけです。
 我が国のガイドラインは、世界で最も積極的に吸入ステロイドを推奨しています。吸入ステロイドは、2歳未満の乳児喘息では、小発作が月1回以上ある軽症持続型に対して、抗アレルギー薬に追加する治療薬として登場します。2歳以上5歳未満の幼児では、軽症持続型の基本治療薬として、抗アレルギー薬と並んで考慮する、と位置づけられています。
 小発作が週1回以上ある中等症持続型に対する治療では、全ての年齢層で吸入ステロイドが基本治療薬です。

icon小児気管支喘息治療の現状

 それでは、我が国の実際の医療現場で行われている実態を見てみましょう。
 厚生労働省のデータによると、小児気管支喘息全体の入院数は年々減少してきています。しかし、年齢層別に見ると、5歳以上では入院数が大幅に減少している一方で、0〜4歳の年齢層では入院数の減少傾向が認められません。2002年度には、0〜4歳の入院数は、小児気管支喘息全体の約60%を占めており、この年齢層の入院が減少していないことは、現在の小児気管支喘息治療の中でも、重要な課題と言えるでしょう。

 

年齢別の吸入ステロイド薬処方状況

 一方、吸入ステロイドの普及はどうでしょうか。千葉県において、専門病院、一般病院、診療所といった医療機関別に、吸入ステロイドの処方割合を比較したデータがあります。これによると、専門病院では吸入ステロイドの処方割合が高く、10歳以上の年長児では65%以上の患児に使用されています。しかし、5歳未満になると、一般病院や診療所だけでなく、専門病院ですら吸入ステロイドの処方割合は15%以下であり、2歳未満の乳児喘息では6.3%の使用率となっています。
 2歳未満の乳児喘息における入院率の高さと比較すると、ガイドラインが推奨する吸入ステロイドの普及は、まだ遅れていると言わざるを得ません。
 その要因のひとつに、これまでは、乳幼児に対する吸入ステロイドの投与方法として、マスク付きのスペーサーを用いた、加圧式定量噴霧式吸入器(MDI)製剤しかなかったことが考えられます。吸入方法の選択肢として、乳幼児でも確実に吸入できる器具、すなわちネブライザーを用いて投与できる吸入ステロイド薬が待ち望まれていました。

 
提供 : 株式会社スズケン

      

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