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<スズケンDIアワー> 平成18年9月28日放送内容より スズケン

同種造血幹細胞治療の前治療薬〜ブスルファン点滴静注


国立がんセンター中央病院
薬物療法部長 高上 洋一

iconブスルフェクスの臨床成績

 このように、経口ブスルファンの問題点を解決してブスルファン投与後の血漿中の濃度を適正に保つために、静注用製剤であるブスルフェクスが開発され、1999年以降、米国をはじめとして欧州、韓国、台湾や中国などにおいて、「造血幹細胞移植時の前治療剤」として承認されて広く使用されています。

静注ブスルファン+シクロフォスファミドのレジメン

 我が国では2002年に、27名の同種造血幹細胞移植の患者を対象とした第二相臨床試験が開始され、ブスルフェクスを6時間ごとに1日4回、4日間にわたって計16回、点滴で静脈内投与し、翌日からエンドキサンを患者体重1 kg あたり60mg/kgを2日間投与し、その後にドナーから採取した造血幹細胞を輸注しています。

同種移植患者におけるAUCの変動について

 その結果、27名中26名で移植片の生着が確認され、移植直後の副作用も特に目立ったものはありませんでした。経口ブスルファンを投与した際に最も危惧されるVODが発症した患者も1名のみであり、それも軽度で適切な処置によりすぐに回復しています。また肝心のブスルファン血漿中濃度は、ほとんどの患者で適正な範囲内にうまく保たれていました。

血中濃度の推移

 異なる患者間での血漿中濃度のバラつきが少ないことに加え、同じ患者に繰り返し投与しても、ブスルフェクスが安定した薬物動態を作り出します。つまり、経口製剤では吸収が遅れたり、安定でないことから2峰性の血中濃度推移を示しますが、ブスルフェクスでは速やかに血中に移行して単峰性の推移を示します。

ブスルファンの吸入量のばらつきを減少させることが重要

 繰り返しますが、ブスルフェクスを静脈内に直接投与することで、ブスルファンの血中濃度を適正な治療範囲内に保つことが可能となり、経口製剤の致命的な問題点を克服し、移植治療の安全性と有効性が高まると考えています。

進行造血器悪性患者でのHLA一致移植後の実際の生存率

 実際に、これを支持するデータとして、前治療としてブスルフェクスと経口剤を投与された患者の移植後100日までの生存率を比較すると、ブスルフェクス群で有意に良好な成績が出たと報告されています。

 以上のような海外と国内の臨床試験成績に基づいてブスルフェクスの輸入承認申請が行われ、静注後にブスルファンの血中濃度が適正に保たれること、また、少なくとも経口製剤と同等の安全性と有効性も認められたことから、本年(2006年)7月に「同種造血幹細胞移植の前治療」を効能・効果として承認され、10月には発売される予定です。
 今回の承認は大人の患者を対象としたデータに基づくものですが、経口ブスルファンを大量に服用することは、小児患者では大人と比べて特に大変であり、また嘔吐することもはるかに多いことから小児に対しての適応についても承認され、造血幹細胞移植が行われる子供たちにも福音となっています。

提供 : 株式会社スズケン

      

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