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<スズケンDIアワー> 平成18年10月12日放送内容より スズケン

悪性神経膠腫治療薬テモゾロミド


埼玉医科大学脳神経外科
教授 松谷雅生

icon悪性神経膠腫とその治療の現況

 本日は、脳に発生する“がん”、悪性神経膠腫の新しい治療薬、テモゾロミドについてお話いたします。テモゾロミドは、ヨーロッパで開発された新しい経口抗腫瘍薬で、悪性神経膠腫に対してその有効性が証明されております。わが国でも2005年9月15日から発売され、保険診療に用いることができるようになりました。治療対象は、WHO分類のグレードVとWに属する悪性神経膠腫で、具体的には、膠芽腫、退形成性星細胞腫、退形成性乏突起膠腫および退形成性乏突起星細胞腫などが挙げられます。腫瘍の発生頻度から、膠芽腫glioblastomaと退形成性星細胞腫anaplastic astrocytomaに投与されることがほとんどと予想されます。
 悪性神経膠腫は、成人の大脳に発生することが多く、脳組織を壊しつつ発育します。腫瘍はMRIに描出されるあるいは手術の時に肉眼で観察できる領域を超えて、周りの脳へしみ込むように伸びているため、その部分、すなわち腫瘍浸潤部までも手術で摘出することはできません。浸潤部には正常脳組織があるために、その部の摘出によって半身麻痺や言語障害などの後遺症が出現します。したがって手術は、肉眼的に認識できる腫瘍のみの摘出が限界であり、残った腫瘍の発育を押さえるには、放射線治療と化学療法が必要になります。

悪性神経膠腫2

 放射線治療は抗腫瘍薬を併用しつつ60グレイを照射します。しかし、腫瘍が消失するのは10%前後で、90%は放射線治療後も明らかに腫瘍が残っております。これでは再発は避けることができず、WHOグレードWに属する最も悪性度の高い膠芽腫では、平均的には手術後10ヶ月前後で再発し、1年前後で腫瘍死いたします。この治療成績は、数ある癌の中でも最も悪いものに属します。WHOのグレードVの退形成性星細胞腫も約半数は2年前後で腫瘍死いたします。これが悪性神経膠腫の治療の現況です。

提供 : 株式会社スズケン

      

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