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<スズケンDIアワー> 平成18年11月23日放送内容より スズケン

第21回国際高血圧学会より 降圧薬の話題


大阪大学大学院老年・腎臓内科学
病院教授 楽木宏実

iconJIKEI-Heart Studyについて

 ダーロフ教授と望月教授が発表されたJIKEI-Heart Studyは、降圧薬治療を受けている高血圧、冠動脈疾患、および心不全のいずれかまたは複数を合併した患者3,081例を対象に、従来治療群と従来治療にARBのバルサルタンを追加する群に無作為に割り付け、複合心血管イベントについて観察した試験です。目標血圧値を130/80mmHg未満に設定した試験で、試験終了時で、バルサルタン群131/77mmHg未満、従来治療群132/78mmHg未満まで降圧されました。従来治療薬では、主にCa拮抗薬、ACE阻害薬、β遮断薬が追加されました。複合心血管イベントは、バルサルタン群で39%の有意な減少が得られました。また、脳卒中は40%、入院を要する狭心症は65%、入院を要する心不全は46%の有意な減少が得られました。心疾患を基礎疾患に持つ患者群においては、厳格な降圧に加え、ARBを併用することが有用であることを示した成績で、今後の治療薬選択に影響を与えるものと思われます。
 降圧薬とは直接関係はありませんが、最近話題の家庭血圧の診療への応用についても多くの発表がありました。日本大学の大久保氏は、血圧を自動記録できるメモリー機能内蔵型の家庭血圧計を用いて、患者から申告される血圧値と実測値を単盲検で比較した結果を報告されました。血圧の過少申告や、測定していない値の記録などが認められ、メモリー機能付きの血圧計の必要性が強調されました。東北大学の福永氏は、家庭血圧を用いて降圧薬治療の不要な白衣高血圧患者を見つけだすことによる費用削減効果を報告されました。家庭血圧計の購入費用を保険給付にしたとしてもその費用削減効果が期待できるという結果でした。さらに、逆白衣高血圧の発見と治療強化への応用による長期的な医療経済効果も期待される内容でした。

icon福岡宣言

 最後に、学会最終日に、本学会会長の荻原教授とISH会長のアルダマン教授によって発表された「福岡宣言」について紹介します。

福岡宣言

 「Global challenges for overcoming high blood pressure」をテーマに開催した学会の総括として、世界の高血圧の現状と予防・治療の重要性を示したものです。脳卒中の62%、心臓発作の49%が高血圧によるもので、高血圧の患者数は、全世界で9億7200万人いること、高血圧と診断されるレベルに達していなくても血圧上昇が心血管病の重要な危険因子であること、適切な治療を受けていない患者が多くいること、治療の第一歩は、禁煙・減量・減塩・運動・節酒、カリウム補充、低脂肪で野菜の多い食事といった非薬物治療であること、厳格な血圧コントロールが最も重要で積極的な薬物治療も必要であること、政府や医療従事者による正しい情報の提供と適切な医療サービスへのアクセス確保が必要であることが示されました。世界レベルでの高血圧制圧に向けた第一歩と位置づけられたもので、本学会を締めくくるに相応しい内容でした。次回のISHは2008年6月14日〜18日にベルリンで開催されます。さらにレベルの高い演題が発表され、世界的な高血圧制圧に向けた論議が進むことが期待されます。

提供 : 株式会社スズケン

      

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