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<スズケンDIアワー> 平成18年11月30日放送内容より スズケン

消化性潰瘍剤―ランソプラゾール


大阪府済生会中津病院消化器内科
部長 蘆田 潔

iconランソプラゾールの薬理試験成績

 今回の承認の用法・用量は、ランソプラゾール1回30mg、1日2回投与となっています。その理由を用量探索試験の成績から述べてみたいと思います。用量探索試験では、コントロール、ランソプラゾール15mg 1日2回投与、30mg 1日1回投与、30mg 1日2回投与時の胃内pHを比較検討しました。胃内pH4以上の時間の割合(以下pH4 holding time)は、24時間ではコントロール群16.3%、15mg 1日2回投与群53.4%、30mg 1日1回投与群46.9%、30mg 1日2回投与群65.0%でした。

H2受容体拮抗剤とプロトンポンプ阻害剤の胃酸分泌抑制作用に及ぼす効果

 酸分泌抑制力は、30mg 1日2回投与がもっとも強く、次いで15mg 1日2回投与、30mg 1日1回投与の順でした。30mg 1日1回投与では、後半12時間のpH4holding timeは、30.7%と著明に低下しており、注射剤は1日2回投与が有効であることが判りました。用量探索試験の結果、ランソプラゾール30mg、1日2回投与にて開発を進めることになりました。ランソプラゾールは肝内代謝酵素CYP2C19によって主に代謝されます。この酵素には遺伝子多型が存在し、ランソプラゾールの血中濃度は、この遺伝子多型によって影響を受けます。そこで、代謝の速いEM群と代謝の遅いPM群のそれぞれにおいて5日間連投試験を行いました。対象は、それぞれ健康成人男子8例で、24時間胃内pHモニタリングは、投与1日目と投与5日目に測定しました。1日目の24時間のpH4 holding timeは、EM群68.9%、PM群90.1%でした。一方、5日目の24時間のpH4 holding timeは、EM群88.4%、PM群97.8%でした。5日目には、EM群でもPM群と遜色のないpH4 holding timeが得られました。
  臨床薬理試験の結果、ランソプラゾール30mg、1日2回投与を至適用法・用量と判断し、臨床第V相試験、すなわち二重盲検群間比較試験を行いました。試験の目的は、既に市販されているH2受容体拮抗剤、塩酸ロキサチジンアセテート注射剤と比較して、止血効果が臨床的に劣らないことを検証することでした。症例数は、キーオープンの結果、両群共に134例が割り付けられていました。止血効果の判定基準は、投与開始後36時間以内に止血を確認した場合を著効、36時間を超え、72時間以内に止血を確認した場合を有効と判定しました。止血の確認は、内視鏡検査にて行っています。有効以上の率、すなわち3日以内の止血率は、ランソプラゾール群96.2%、ロキサチジン群93.8%で、非劣性が検証されました。CYP2C19の遺伝子多型にプロトンポンプは、影響を受けると先ほど述べましたが、H2受容体拮抗剤は影響を受けません。そこで、CYP2C19の遺伝子多型に止血効果を比較しました。EMでは、ランソプラゾール群96.9%、ロキサチジン群92.6%、PMでは、ランソプラゾール群94.1%、ロキサチジン群95.8%でした。すなわち、CY2C19の遺伝子多型による止血効果への影響は認められませんでした。ランソプラゾール注射剤投与により、3日以内に95%の止血率が得られ、速やかで優れた止血効果が明らかになりました。 

提供 : 株式会社スズケン

    

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