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<スズケンDIアワー> 平成18年12月07日放送内容より スズケン

パーキンソン病治療薬ロピニロール


自治医科大学内科学講座神経内科部門
助教授 藤本 健一

iconドパミンアゴニストの特徴

 ドパミンアゴニストは、L-dopaと比較しますと、服薬開始時の副作用が多い薬です。

ドパミンアゴニストの特徴

 従来の麦角系アゴニストでは消化器症状が問題でしたが、非麦角系のアゴニストでは、この点が改善されています。麦角系では、服薬開始時にドンぺリドンなどの制吐薬を必要としたり、制吐薬を併用しても、消化器症状のためにどうしても服薬できない患者がいたりしましたが、非麦角系のアゴニストでは、まずそのようなことはありません。また、麦角系アゴニストでは稀でありますが、肺・胸膜線維症や心臓弁膜症が起ることが知られています。非麦角系のアゴニストにおいても報告がゼロではありませんが、麦角系に比べると安全性はかなり高いと考えられます。
 一方、非麦角系のアゴニストにも欠点があります。それは眠気です。例えば、タリペキソールは、かなり眠気が強いので、睡眠前に服薬している患者がいるほどですし、プラミペキソールも眠気のために服薬できないという患者がいます。眠気を感じないのに、運転中に突然入眠して事故を起こす「突発的睡眠」はさらに厄介です。これは麦角系のアゴニストでも、L-dopaでも起こりますが、プラミペキソールではやや多いように思います。直接比較したデータはありませんが、ロピニロールは、非麦角系の中では、眠気や突発的睡眠が少ないと言われています。

ドパミンアゴニストの受容体親和性

 精神機能への影響で、最近注目を集めているのが、ドパミン受容体のサブタイプに対する親和性の違いです。D3受容体に対する結合能の差が、各ドパミンアゴニストの精神機能への影響に密接にかかわっていると考えられています。D3受容体への親和性が特に高いプラミペキソールは、不安感を解消し、気分を明るくすることが知られています。元来、生真面目で不安感が強く、「石橋を叩いて渡らない性格」と表現されるパーキンソン病の患者では、D3受容体を介した、このような作用は好ましい影響として受け入れられることが多いと思います。しかし、これも過剰になると、不安を感じないがためにギャンブルにのめり込む、いわゆる病的賭博を起こすことがあります。これに対して、カベルゴリンはD3受容体にほとんど結合しません。中年で不定愁訴の多い婦人にカベルゴリンを処方すると、ますます訴えが増えることがあります。これはD3受容体への親和性の欠如が原因なのかもしれません。ぺルゴリドは、ある程度D3受容体に結合しますので、気分に対する影響は、比較的ニュートラルな印象を受けます。

iconドパミンとドパミンアゴニストのD3/D2結合比

ドパミンとドパミンアゴニストのD3/D2結合比

 

 このたび登場したロピニロールはどうかと言いますと、D2受容体とD3受容体の結合の比が、プラミペキソールよりは小さく、ぺルゴリドよりは大きく、ちょうどドパミンと同じです。すなわちロピニロールは、ドパミン受容体のサブグループに対する親和性が、極めてナチュラルであると言えるでしょう。ロピニロールの化学構造がドパミンに類似している点も、ロピニロールがナチュラルな作用を示すことに関係していると思われます。
 進行期のパーキンソン病では、幻覚や妄想といった精神症状がしばしば問題となります。ドパミンアゴニストは、L-dopaよりも精神症状を発現するリスクが高いことが知られています。ロピニロールの臨床治験データでは、他のドパミンアゴニストと比較して、幻覚や妄想が少なくなっています。用量が増えても、この傾向が保持されるかどうかは判りませんが、幻覚や妄想といった精神症状が少ないことは、ロピニロールの利点である可能性があります。同じ非麦角系のプラミペキソールは、高齢者において保険適応最大用量である4.5mgまで増量すると、高頻度に精神症状を発現します。プラミペキソールが未変化体のまま腎臓より排泄されるのに対して、ロピニロールは、一度肝臓で代謝され、ドパミン活性のない代謝物として尿中に排泄されます。このため、ロピニロールは、高齢者や腎機能の低下した患者さんにおいても、血中濃度上昇に伴う精神症状を心配することなく、安心して使うことができます。

提供 : 株式会社スズケン

    

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