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<スズケンDIアワー> 平成18年12月28日放送内容より スズケン

第21回アジア薬剤師会連合学術大会


日本薬剤師会
常務理事 生出 泉太郎

 1,000名を収容する会場はほぼ満席状態で、入りきれなかった参加者は別に設けられた部屋でビデオ放映による視聴となったほどでした。式典では、組織委員長である中西敏夫日本薬剤師会会長が、「大会を通じて、21世紀の薬剤師が相互に情報交換を行い、アジアおよび世界的な視野に立った21世紀の薬剤師のあり方について、議論を深めてほしい」と述べられ、続いてFAPA会長であるオーストラリアのピーター・ブランド氏が挨拶に立ち、「FAPAが設立された42年間の推移をみると、薬物療法で、より専門性の高いサービスが提供されるようになった。薬剤師はより重要な役割を果たすことの必要性を認識しなくてはいけない」と、薬剤師が医療で担うべき使命が大きくなっていることを強調されました。
 式典に続き、世界薬剤師薬学連合(International Pharmaceutical Federation:FIP)前会長のジャン・パロー氏が「21世紀の薬剤師の役割」をテーマに基調講演を行い、世界各国の保健事情やOTC薬の取り扱いを紹介しました。
 パロー氏によれば、カナダのケベック州では、薬剤師が医師の作ったケアプランに則り、新薬の選択や用量の調節をすることができる。また、コスト削減意識の高いアメリカでは、薬剤師が医師のような仕事をするケースもあり、州によっては成人のワクチン投与まで行う地域もあると話されました。一方、イギリスでは、薬剤師と看護師が一定の研修を受ければ、処方できるという制度が確立され、薬剤師などの処方権には2種類があり、一つは医師のケアプランの範囲内で補助的な処方をするものだそうです。2003年4月からスタートした制度で、現在、薬剤師で550人、看護師では6,500人がこの資格を有していると述べられました。 もう一つはケアプランに基づくことなく、薬剤師が独立して処方できる資格であり、今年の5月からスタートしたということです。パロー氏は「薬剤師による処方を可能としたこの制度は、大きな問題をはらんでいる」と指摘して、「薬剤師の中に、処方ができる人とできない人の2種類ができてしまったことになり、患者のケアが混乱している」とし、一つの資格に格差をつけることの危険性を訴えられました。また、パロー氏は各国のOTC薬事情の説明にも及んで、日本は改正薬事法によって、OTC薬を三つの区分に分類したが、国によっては全く区分を設けていないところもある。その代表格がヨーロッパで、区別することによって薬剤師がコントロールできなくなる可能性もあるため、区分は設けられていないと説明されました。
 大会2日目からは本格的な学術大会となり、薬学教育、セルフメディケーションとOTC薬や患者サービス向上、薬物治療のグローバルスタンダードなどに関するシンポジウム、各分科会での口頭発表等やポスター発表が行われ、活発な発表・議論が展開されたほか、今回初の試みとして、禁煙フォーラムや薬学生によるワークショップ等も開催されました。
 私が副座長を務めた開局部会では、基調講演2題の他に12題の口頭発表があり、8題が日本、他にはタイから2題、台湾から2題の発表がありました。初日は質疑応答の時間がないほどタイトなスケジュールでしたが、2日目は5題のみということもあり、時間に余裕があったせいもあり、タイの薬剤師の役割や日本の家庭血圧計を使用した発表に対して、活発な質疑応答が繰り返されました。病院薬剤師部会ではエイズやガン治療に貢献する専門薬剤師について、流通部会や製薬部会では「アジアにおけるOTC薬」や「偽造医薬品の現状と対策」などが話し合われ、活発な意見交換がなされました。また、今回から新たに設けた「薬学生部会」では薬学教育のカリキュラムについてスモール・グループによる討議が行われました。

石館先生メモリアルコーナー

 ちなみに今回の大会では各分科会合計65題の口頭発表と207題のポスター発表が行われました。他に展示場では元日本薬剤師会会長でFAPAの設立に貢献をされた石館守三先生メモリアルコーナーや内藤記念くすり博物館の展示などが催され、アジア諸国からの参加者は興味を持って食い入るように見学をしていたのが印象的でした。その他、病院や薬局、大学・製薬企業などを訪れるフィールドトリップも実施し300人以上の参加がありました。
 このような様々な企画をした結果、今後のアジア諸国の薬剤師が連携、協調を図っていくための懸け橋となった大変意義深い大会になったと思います。

閉会式FAPA旗移行

提供 : 株式会社スズケン

    

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