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<スズケンDIアワー> 平成19年1月4日放送内容より スズケン

多発性骨髄腫治療薬ボルテゾミブ


国立病院機構名古屋医療センター
院長 堀田 知光

icon多発性骨髄腫の病像

 多発性骨髄腫は免疫グロブリンという抗体タンパク質を産生する形質細胞の腫瘍であり、単クローン性の免疫グロブリン異常を示すのが特徴です。

多発性骨髄腫にみられた骨融解像

 免疫グロブリンの種類からIgG, IgA, IgD型およびベンス・ジョーンス型などがあります。多発性骨髄腫は全悪性腫瘍の1%、血液腫瘍の約10%を占めます。発症年齢のピークが50歳〜70歳代と高齢の方に多く、高齢化社会の到来とともにわが国で増加傾向にあります。

多発性骨髄腫にみられた血清蛋白異常

 特徴的な症状は腰痛や背部痛などの骨の痛みです。体動時や体位変換の時に強悪し、安静時には軽減するのが特徴です。そのほかに貧血や出血症状を伴うことがあります。しかし、初期には無症状のことも多く、検診などで採血の結果、偶然に発見されることも少なくありません。診断には血液生化学検査による単クローン性の免疫グロブリン異常、骨髄における異型な形質細胞の増加、および溶骨性病変が重要です。骨病変として頭蓋骨に抜き打ち像(punched-out lesion)と呼ばれる境界明瞭な円形の溶解像がよく知られています。そして病勢が進行すると脊椎の圧迫骨折やわずかな外圧による病的骨折や、貧血、高カルシウム血症、さらに腎機能異常を合併することがあります。病気の進行は比較的ゆっくりでありますが、病勢が進行しますと感染症や腎不全を伴い予後は不良となります。

icon多発性骨髄腫治療の現況

 多発性骨髄腫は骨痛や貧血などの症状がなく、免疫グロブリンの増加も軽い場合には、経過観察するのが基本です。

多発性骨髄腫の骨髄像

 このようなケースで治療を急がない理由は、抗がん剤治療で病勢のコントロールはできても、治癒は難しく、抗がん剤治療が長期にわたりますと骨髄機能の低下や二次癌の可能性があるからです。病勢が進行した場合には抗がん剤による化学療法を行います。化学療法として30年以上前に開発されたメルファランとプレドニゾロンの併用療法(MP療法)やビンクリスチン、アドリアマイシン、デキサメタゾンの併用療法(VAD療法)がこれまで標準的治療として行われてきました。この間、さまざまな抗がん剤の組み合わせやインターフェロンの併用などが試みられましたが、大きな進歩はありませんでした。抗がん剤は、一般に細胞が分裂するのを止める働きがあり、腫瘍細胞の増殖を抑制する効果をもちますが、正常細胞にも攻撃して障害を与えます。特に細胞分裂が盛んな消化管粘膜とか髪の毛とか血液の細胞などに副作用が出やすいのはご承知の通りです。骨髄腫細胞は一般に増殖のスピードは緩やかで、分裂期にある細胞の割合が小さいことが化学療法の効果が低い要因と考えられています。再発・再燃した場合や化学療法の効きが不良の場合にはステロイドの大量投与が有効ですが、糖尿病や消化性潰瘍などの副作用に注意が必要です。

提供 : 株式会社スズケン

      

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