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<スズケンDIアワー> 平成19年3月1日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全性情報-最近の話題(7)


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

icon はじめに

 医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者は、医薬品や医療機器による副作用、感染症、不具合を知ったときは、直接又は当該医薬品等の製造販売業者を通じて厚生労働大臣へ報告すること。また、薬種商販売業や配置販売業の従事者も医薬関係者として、副作用等について、報告することが求められています。

医薬品・医療機器等安全性情報

 医薬品・医療機器等安全性情報は原則月1回出される医薬品や医療機器の安全性に関する情報です。そこで、今回は平成19年1月に出された医薬品・医療機器等安全性情報No.232の中から、厚生労働省が平成18年12月1日に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうちトシリズマブ(遺伝子組換え)について出された重要な副作用等として、効能又は効果として記載されているキャッスルマン病について、また、改訂内容等とともに改訂の根拠となった症例の概要について紹介します。

icon キャッスルマン病とは

 まず、トシリズマブについてですが、トシリズマブは、わが国でオリジナルに開発された治療用モノクローナル抗体です。そして、平成17年6月に、はじめてキャッスルマン病治療薬として承認、発売されました。

キャッスルマン病

 キャッスルマン病とは1956年にアメリカの病理医であるキャッスルマン”(Castleman)が初めて原因不明の病気として報告したことから、キャッスルマン病と名付けられました。
 キャッスルマン病は非常にまれなリンパ増殖性疾患です。リンパ管の中にあるリンパ節という器官に腫れがみられる疾患です。リンパ節の腫脹を特徴とし、そのリンパ節組織ではリンパ濾胞の過形成を認めます。キャッスルマン病は、そのリンパ節の組織の特徴から、形質細胞型、ならびにヒアリン血管型の2つに分けられます。形質細胞型のキャッスルマン病は、リンパ濾胞の過形成に加えて、濾胞間にたくさんの形質細胞が浸潤しています。一方、ヒアリン血管型は、濾胞間にヒアリン化した血管が多数認められます。さらに、形質細胞とヒアリン血管の両方の性質を持つ、混合型もみられます。またキャッスルマン病の症状として2つのタイプがみられます。リンパ節の腫脹が2つ以上、全身に認められるタイプと、1ヵ所だけに認められるタイプがあります。
 全身に認められるものが、多中心(または全身)型キャッスルマン病(multicentric Castleman disease)と呼ばれています。一方、1ヵ所だけリンパ節が腫れるタイプは、限局型キャッスルマン病(localized Castleman disease)と呼ばれています。
 キャッスルマン病の症状として、リンパ節腫脹は全例に認められますが、それ以外に、多中心(または全身)型のキャッスルマン病では、発熱、倦怠感、食欲不振、体重減少といった炎症症状に加え、皮疹、肝脾腫、腹水あるいは胸水、浮腫、神経障害、咳嗽といった症状が認められます。また検査所見においては、多くの患者に貧血症状が認められています。また血小板に関しては、その数が減少する場合も増加する場合もみられます。炎症症状が強く、C反応性タンパクの高い値や、血沈の亢進が認められ、またアルブミン値が低下します。肝機能検査値の異常もしばしば認められ、タンパク尿や、止血系の異常、さらには自己抗体の出現、甲状腺機能の低下など、さまざまな異常が認められます。
 キャッスルマン病に対する従来の治療は、1ヵ所だけ腫れる限局型の患者では、手術で腫れたリンパ節を切除します。切除によりその症状は消失します。しかし多中心(または全身)型のキャッスルマン病では、ステロイドホルモン剤や抗炎症剤あるいは免疫抑制剤を用いることが多くみられます。多くの患者は治療に抵抗性を示し、ステロイドホルモン剤を使い続ける必要があります。キャッスルマン病自体は良性ですが、長期にわたると肺炎や腎臓の障害を引き起こすことがあります。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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