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<スズケンDIアワー> 平成19年5月3日放送内容より スズケン

DI実例集(155)〜がん化学療法のレジメン管理


癌研有明病院薬剤部 部長
濱 敏弘

icon レジメン管理の考え方

 がん化学療法を安全に行うためには、レジメンの管理が重要であることは言うまでもありません。レジメンを管理するとは、ただ単に一定の様式でレジメンが整理整頓されていることではなく、化学療法を受ける患者の安全性をある一定のレベルで保障することであると考えます。すなわち、抗がん剤がエビデンスに基づいて投与されていることを担保することに加えて、制吐剤やステロイドまたアレルギー対策などの支持療法が標準化されていることであったり、また輸液の種類や量の統一が図られ、医療過誤を未然に回避する手立てがされていることと考えます。癌研有明病院におけるレジメンの登録手順とレジメン登録票への記載事項を紹介し、薬学的ケアと医療安全の観点からレジメン管理について紹介します。

icon レジメン登録の手順

 癌研有明病院におけるレジメン登録の手順は、概ね臨床研究の申請手順を踏襲しています。

レジメンの登録手順

 新たなレジメンを申請しようと思う医師は、まず臓器ごとに構成されるCancer Boardへレジメンを提出します。 Cancer Boardとは、臓器別合同カンファランスであり、内科医、外科医、放射線治療医、病理医、及び薬剤師、看護師などのコメディカルが参加し、それぞれ専門の立場から意見を交換し、症例を検討するところです。
 レジメンの申請は、レジメン申請医師、診療科部長、cancer board leaderの3名連記で、院内の診療部長で構成するTumor Boardに申請されます。
 Tumor Boardにかけられた新規レジメンは、SRB( Scientific Review Board)と呼ばれる科学性を検討する委員会で審議されます。SRBは、倫理性を検討するIRBと対をなす委員会といえます。
SRBと申請者の間で意見交換され、時に修正が加えられます。SRBの審議で問題がなければ、 Tumor Boardで承認され、薬剤部に登録依頼がきます。
 薬剤部では、レジメンの投与スケジュールなどを確認し、輸液の種類と量、またプレメディケーション、ポストメディケーションなどを薬学的な観点から検討します。その上で、パスレジメンとして電子カルテシステムへ登録します。

icon レジメン登録票について

 レジメン登録票は、A3版見開きサイズであり、28項目からなります。
 記載項目の概要を述べます。

レジメン登録票

 まず、癌種、レジメン名称、実施部署、臨床区分、適応疾患分類を記載します。実施部署の区分とは、入院、外来化学療法センター、アンギオ室、外来処方など化学療法を実施する場所を限定します。臨床区分には、日常診療として保険診療内で行うか、単独自主研究、多施設共同自主研究、市販後臨床試験、または治験であるかの区分を書きます。
 そしてレジメンの本体としては、抗がん剤の商品名、1日投与量、投与方法、投与時間、投与日が書かれます。次に、休薬期間を含む1コースの期間と総コース数を記載します。また、減量規定及び中止の基準、投与間隔の短縮規定、投与の順番やスケジュール、投与コースによる変化などについて記載されます。これらの項目は、処方のレジメン監査の監査対象となります。投与量の増量規定はありますが、100%doseを超えての投与は認めていません。
 プレメディケーション、ポストメディケーションの項目には、アレルギー対策、制吐剤、ステロイド剤やハイドレーション用輸液が書かれます。特に記載がなければ、薬剤部でパスレジメン登録時に追記することもあります。
主な副作用と対処法を記載する欄には、重篤な副作用と発現時の対処法が記載されます。患者の適用基準欄には、レジメン適用時のPS(パフォーマンスステータス)や、除外規定、実施上の注意点が記載されます。レジメンを多くの職種で共有する場合、主な副作用や患者の条件を明記しておくことは重要です。
 最後にプロトコール解説、治療成績、主要文献及び特記事項を記載する欄を設けています。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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