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<スズケンDIアワー> 平成19年6月7日放送内容より スズケン

医薬品・医療機器等安全性情報 最近の話題(8)


NTT東日本関東病院 薬剤部長
折井 孝男

icon 妊婦の薬物への影響

 日本では少子化が深刻な社会問題となり、産科婦人科などの診療科において、妊娠あるいは授乳中の薬物使用による胎児の催奇形性に、より注意が払われる傾向が強まっています。つまり、妊娠中に医薬品を使用する場合は、母体への影響だけでなく胎児への影響、特に「催奇性」について十分注意が必要です。
 一方で、実際にはヒトでの催奇性が確認されている医薬品は少ないにもかかわらず、実際に医薬品の使用によるリスクを過剰に心配する傾向にあるということも報告されています。このため、医師が必要な薬物治療を控えてしまったり、患者本人が自己判断により服薬を中止したりすることで、母体の健康状態が悪化したり、さらに、胎児に悪影響を及ぼした例もみられます。また、慢性疾患により、医薬品を使用しているからといって最初から妊娠を諦めてしまう例もみられます。
 一般の薬物投与とは異なり、妊娠している女性に対し薬物を投与する場合には、その薬物が妊婦本人のみならず、胎児にどのような影響を与えるかを念頭に置かなければならないことは当然のことといえます。

icon 妊娠と薬情報センターの設置

 そこで、医薬品・医療機器等安全性情報、この医薬品・医療機器等安全性情報は厚生労働省より原則月1回出される医薬品や医療機器の安全性に関する情報であり、今回は平成19年4月に出されたNo.235の中から「妊娠と薬情報センター事業について」として掲載された内容について紹介します。
現状においては、妊娠中の医薬品使用に関する正確な情報を収集することは困難です。そのため平成17年10月に国立成育医療センターに「妊娠と薬情報センター」を設置して、試験的に地域を限定して、相談・調査業務を実施してきました。そこで、地域における情報を収集するために、このたび、この「妊娠と薬情報センター」の対象地域を全国に拡大したことから、これまでの経緯、業務内容等について紹介します。
  これまでの経緯についてですが、厚生労働省では平成17年1月、7月及び8月の3回にわたり、妊婦と薬に関する相談を実施していた医療機関の専門家だけでなく、生命倫理の専門家や一般の方の代表を委員とした「妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会」を開催してきました。そして、相談方法、妊娠結果の調査方法、調査に関する説明と同意の取得についてなど、様々な議論が行われてきました。そこで、この検討会の意見等を踏まえて、平成17年10月に国立成育医療センター内に「妊娠と薬情報センター」を設置しました。当初は東京都世田谷区限定で試験的に事業を開始してきました。平成18年2月には東京都及び神奈川県、平成18年9月からは首都圏(1都6県)を対象地域としていましたが、平成19年4月から全国で5施設の協力を得て、相談対象地域を日本全国に拡大しました。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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