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<スズケンDIアワー> 平成19年6月14日放送内容より スズケン

コレステロールトランスポーター阻害薬-エゼチミブ


帝京大学内科 主任教授
寺本 民生

iconコレステロールの吸収メカニズム

 次にコレステロールの吸収メカニズムについて整理しておきたいと思います。

肝臓における合成・小腸における吸収

 小腸において吸収されるコレステロールは、主として食事、胆汁コレステロールと脱落した小腸細胞の表面コレステロールという三つの起源に由来します。欧米人のデータですが、食事からは通常400〜500mg/日、胆汁コレステロールからは800〜2000mg/日、小腸粘膜脱落細胞からのコレステロールは個体差がありますが約300mg/日と推測されています。つまり、1.5〜2gくらいが小腸において吸収の対象になる量です。これらのコレステロールはそのままではもちろん吸収されませんが、唾液や胃液により一部分解され、いわゆる糜汁が形成され、小腸に送り込まれ、胆汁や膵液と混合し、一部脂質の分解などがおこり、胆汁酸の存在下にミセルが形成されます。この表面に液晶化したコレステロールが供給されることとなるわけで、このミセル上のコレステロールがNPC1L1へ結合し小腸粘膜細胞に吸収されるということがわかったのです。

エゼチミブの作用メカニズム

 小腸粘膜細胞内へ取り込まれたコレステロールの一部は細胞表面に存在するABCG5/G8というステロールトランスポーターで細胞外へ排出されますが、ほとんどは細胞内でエステル化され、トリグリセライド、アポB48とともにカイロミクロンを形成してリンパ管に分泌され体内へと取り込まれていきます。

エゼチミブに対するLDL-Cの反応性の個人差

 コレステロール吸収に個人差があることはすでに触れましたが、同時にNPC1L1に作用するエゼチミブに対する反応性も個人差が大きいことが分かっています。全く反応しないものから50%以上の低下率を示すものが存在することは、コレステロール吸収について大きな個人差があり、ここにNPC1L1が関与していることが考えられます。
 Wangらはエゼチミブに反応しない個人のNPC1L1分子について検討したところ、正常者には認められないNPC1L1の分子多型のなかでも比較的まれな多型のcompound heterozygoteであることを見出しており、エゼチミブ反応性における個人差が理解されるものと考えられます。つまり、エゼチミブにおいてはこの個人差を利用してテーラーメード的な使用法が期待されます。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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