神戸市立医療センター中央市民病院 副院長
石原 享介
気管支喘息治療の現状
気管支喘息は気道の炎症と狭窄によって起こる疾患です。したがって喘息の治療は、最も優れた抗炎症作用を持ち、副作用の少ない吸入ステロイド薬を基本治療薬として、状況に合わせて気管支拡張作用をもつβ2刺激薬やその他の薬剤が併用されます。

わが国においては減ったとはいえまだ3000名弱のかたが喘息で亡くなっておられます。この数をさらに減らすにはどうすべきなのかを専門家は考え続けています。
2000年と2005年にわが国で実施された大規模患者実態調査(AIRJ)によると、多くの喘息患者が予定外受診や喘息発作による欠勤や欠席を経験しており、わが国における喘息のコントロール状況は良好ではなく、その重要な原因の1つとして吸入ステロイド薬を使用している割合が成人喘息患者でおおよそ18%であり、欧米諸国と比較してきわめて低いことが挙げられています。喘息死防止には吸入ステロイド薬の適正使用が最も重要であると言われています。
吸入ステロイド薬があまり普及していない理由としては、
- 複数の薬剤を併用するため治療が煩雑になりやすい。
- 吸入ステロイド薬の意義が充分に説明されず、吸入指導も不十分である。
- 吸入ステロイド薬の効果がすぐにあらわれないため、気管支拡張薬にたよってしまう。
- 患者さんやプライマリーケア医において、未だにステロイド薬の安全性に対する懸念がある。
- 吸入薬であるため、特に高齢の患者で吸入の継続が困難なこと。
などが考えられます。
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