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<スズケンDIアワー> 平成19年7月12日放送内容より スズケン

静脈血栓塞栓症予防薬 フォンダパリヌクス


虎の門病院 副院長
立花 新太郎

icon 静脈血栓塞栓症の病像

 2007年に新しい抗凝固薬として、フォンダパリヌクスが「静脈血栓塞栓症の発現リスクの高い下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」を適応症として承認され、6月8日に発売されました。フォンダパリヌクスは、新規の合成Xa阻害剤で、1日1回の皮下注射で医療従事者の負担も少なく、プレフィルドシリンジで、さらに針刺し事故防止のための安全装置が付いた薬剤です。本日は、静脈血栓塞栓症の予防について簡単に触れ、フォンダパリヌクスについて解説したいと思います。
 静脈血栓塞栓症とは、エコノミークラス症候群として知られている肺血栓塞栓症と、その原因である深部静脈血栓症を指します。最近では、サッカーや野球の有名選手や、俳優などがこの肺血栓塞栓症で苦しんでいる、あるいはお亡くなりになったということで、一般にもよく知られるようになりました。エコノミークラス症候群は、航空機の狭い座席に長時間不自由な姿勢を強いられることで、下肢の深部静脈に血栓が形成され、それが肺動脈に達して発症する肺血栓塞栓症と一般的には理解されていますが、実際にはエコノミークラスに座る旅行者だけではなく、中越地震などのように車中泊を強いられた方でも発症し、特に最近では、入院中の患者さんに発症するケースが多いことが分かってきました。

icon 肺血栓塞栓症予防の意義

 では、なぜ肺血栓塞栓症は予防しなければならないのでしょうか。肺血栓塞栓症の診断・治療法も進歩していますが、急性肺血栓塞栓症を発症した場合、約30%が死亡し、その40%以上が1時間以内に突然死しているという報告があります。つまり肺血栓塞栓症は、一旦発症すると救命が困難で、循環器科の医師や胸部外科医が常勤していない施設では、対応できないことが考えられます。また、肺血栓塞栓症の原因となる下肢の深部静脈血栓症は、いわゆるフリーフロート血栓と呼ばれる浮遊型の血栓がほとんどで、症状がないあるいは乏しいので、診断されずに見過ごされるケースが多く、どの患者が肺血栓塞栓症を発症するのか予測できないため、予防が最も有効な対処法と考えられます。

 

提供 : 株式会社スズケン



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