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<スズケンDIアワー> 平成19年7月12日放送内容より スズケン

静脈血栓塞栓症予防薬 フォンダパリヌクス


虎の門病院 副院長
立花 新太郎

icon わが国における臨床試験成績

 わが国においても、本剤の下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防効果を確認するため、プラセボを対照とした用量反応試験が実施されました。TKRおよびTHR施行患者、約800例を対象に、フォンダンパリヌクス0.75mg、1.5mg、2.5mg、3.0mgおよびプラセボを、術後24時間から投与開始し、10〜14日間投与しました。投与終了から2日以内に静脈造影を実施して深部静脈血栓症の判定を行い、肺血栓塞栓症については、疑い症例に対して肺換気-血流スキャンなどの検査を実施しました。結果は、肺血栓塞栓症を発症した症例はなく、発生した静脈血栓塞栓症はすべて深部静脈血栓症でした、TKRにおいて、プラセボ群、0.75mg群、1.5mg群、2.5mg群、3.0mg群の深部静脈血栓症の発現率は、それぞれ65.3%、34.2%、21.3%、16.2%、9.5%であり、すべてのフォンダパリヌクス群でプラセボ群と比較して、有意な発現率の低下が認められました。THRでは、プラセボ群、0.75mg群、1.5mg群、2.5mg群、3.0mg群の深部静脈血栓症の発現率は、それぞれ33.8%、24.2%、4.6%、7.4%、14.3%であり、1.5mg、2.5mg、3.0mg群ではプラセボ群と比較して有意にDVT発現率が低いという結果でした。
 安全性に関してですが、両試験で認められたMajor bleedingは、800mL以上の輸血を行った出血が0.75mg群で1例、2.5mg群で2例、3mg群で1例、ヘモグロビン値が2g/dL以上の低下を伴う出血が2.5mg群で1例、認められました。また800mL以上の輸血を行い、かつヘモグロビン値が2g/dL以上の低下をした出血がプラセボ群で1例認められました。
 両試験において、静脈血栓塞栓症の予防効果については、統計学的に有意な用量反応性が認められましたが、出血性有害事象の発現率については、用量反応性は認められませんでした。

icon フォンダパリヌクス投与上の留意点

 これらの臨床試験の結果から、日本人に対するフォンダパリヌクスの至適投与量は2.5mgと決定され、「静脈血栓塞栓症の発現リスクの高い、下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」を効能・効果として本剤は承認されました。
 本剤は、静脈血栓塞栓症の発症抑制に関して、日本人のエビデンスを持った初めての抗凝固薬で、今後、術後の静脈血栓塞栓症の予防に広く使用されることが予想されます。しかし、抗凝固薬には出血リスクが伴いますので、安全に用いるために注意しなければならない点もあります。本剤は腎排泄型の薬剤ですので、クレアチニン・クリアランスが20mL/分未満の患者では使用禁忌になっています。また、クレアチニン・クリアランスが20mL/分以上、30mL/分未満でも、出血の危険性がある場合には、投与量を1.5mgに減量する必要があります。また、本剤の使用に際しては、メリットとデメリットを患者に十分説明することも重要です。出血リスクに注意を払いながら、上手にこの薬剤を使っていくことが重要です。本剤の発売をきっかけに、患者、医師、病院関係者の全員が静脈血栓塞栓症から守られることを期待しています。

 

提供 : 株式会社スズケン



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