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<スズケンDIアワー> 平成19年7月26日放送内容より スズケン

過活動膀胱治療薬 イミダフェナシン


熊本大学泌尿器病態学 准教授
吉田 正貴

icon 抗コリン薬の作用メカニズム

 本日は本年6月11日に新発売された、過活動膀胱治療薬イミダフェナシンについて御紹介します。
まず、はじめに、この薬剤の適応疾患である過活動膀胱、およびその治療薬である抗コリン薬の作用メカニズムについて解説したいと思います。
 過活動膀胱は2002年の国際尿禁制学会で「通常、頻尿および夜間頻尿を伴う尿意切迫感」で、「切迫性尿失禁の有無は問わない」、症状症候群と定義されています。本邦での疫学調査では40歳以上の過活動膀胱の有病率は12.4%であり、約810万人の患者の存在が指摘されています。過活動膀胱は生活の質を低下させることだけでなく、患者のうつ状態との関係や睡眠の質への影響についても指摘されています。
 過活動膀胱の治療では、保存的療法、特に薬物療法が最も一般的に行われています。その第一選択薬は抗コリン薬です。過活動膀胱の症状の原因は排尿筋の不随意な収縮であろうと考えられてきました。この不随意な収縮を排尿筋過活動といいますが、抗コリン薬は排尿筋過活動を抑制することでその作用を示すと考えられています。しかし、排尿筋過活動を必ずしも伴わないような過活動膀胱もあり、膀胱上皮や膀胱知覚神経と症状との関係がクローズアップされてきています。そのような中で、最近では、抗コリン薬は膀胱平滑筋のみならず、膀胱知覚神経への作用も有していることが示されてきています。

膀胱機能に関するムスカリン受容体サブタイプ

 膀胱収縮の主要な神経伝達物質はコリン作動性神経より放出されるアセチルコリンであり、膀胱平滑筋のムスカリン受容体を介して収縮反応をおこします。ムスカリン受容体はM1からM5の5つのサブタイプに分れ、ヒト膀胱平滑筋にはM2受容体が75%、M3受容体が25%とされています。このうち、膀胱収縮に主に関与するのはM3受容体であると考えられています。M2受容体の刺激は交感神経のアドレナリン作動性神経から放出されるノルアドレナリンによるβ3受容体-アデニレート・サイクラーゼ系を介した弛緩反応を抑制することで、間接的に膀胱収縮に寄与しています。また、ムスカリン受容体はコリン作動性神経の神経終末にも見られ、この受容体はアセチルコリンの放出量を調節しています。コリン作動性神経に存在するムスカリン受容体のサブタイプはM1とM2/M4サブタイプで、M1受容体が刺激されるとアセチルコリンの放出は促進され、M2/M4受容体の刺激はアセチルコリンの放出を抑制するとされています。
 抗コリン薬は膀胱のこのようなムスカリン受容体を抑制することでその臨床効果を発揮します。膀胱の不随意収縮を抑えるには、膀胱収縮に関与する受容体サブタイプを効果的に抑制する必要があります。膀胱平滑筋収縮には主にM3受容体が関与し、コリン作動性神経からアセチルコリンの放出を促進する受容体はM1受容体ですので、これらの2つの受容体のサブタイプを抑制すると、膀胱収縮は直接的にも間接的にも抑えられると考えられます。

提供 : 株式会社スズケン

      

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