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<スズケンDIアワー> 平成19年8月2日放送内容より スズケン

気管支喘息治療薬(1日1回投与型吸入ステロイド剤)シクレソニド


昭和大学第一内科 教授
足立 満

icon シクレソニドの臨床試験成績

 続いて、シクレソニドの実際の臨床効果についてお話ししたいと思います。
 海外の臨床試験では、フルチカゾンなど、既存のお薬との比較臨床試験が行われ、次のような結果が得られています。

シクレソニドとFPとの二重盲検比較試験におけるFEVの変化

 成人の軽症の気管支喘息患者さんを2つの群に分け、各々200μgの用量でシクレソニド、およびフルチカゾンを12週間投与しました。この際、用法として、シクレソニドは1日1回投与、フルチカゾン1日2回投与としました。その結果、12週間後の呼吸機能の改善度は両薬剤で全く同等であることが分かりました。

シクレソニドとFPとのオープンラベル比較試験における症状の改善度

 その他の項目、例えば、喘息症状が無かった日数なども有意差は無く、シクレソニドとフルチカゾンは臨床効果においてほぼ同じであると推定されました。その他にも、重症度の異なる喘息患者さんに対して、様々な臨床試験が行われましたが、両薬剤の臨床効果には違いが認められませんでした。

口腔咽喉頭部の1年刊あたりの有害事象発生頻度

 また、比較的高用量を短期間投与する臨床薬理試験を行った結果、フルチカゾンでは全身性の有害事象の指標である血中コルチゾール値が抑制されましたが、シクレソニドではそういった現象は認められませんでした。さらにカンジダ症や嗄声についても、複数の臨床試験を統合して解析した結果、シクレソニドでは発現頻度が低いことが明らかとなりました。

シクレソニドとBDPの対照比較試験における朝のピークフローの変化

  一方、国内の臨床治験では、旧タイプのベクロメタゾンとの比較臨床試験が行われましたが、シクレソニドは旧タイプのベクロメタゾンの約半分、すなわちフルチカゾンや現行のベクロメタゾンと同じ用量で同等の臨床効果が示され、先ほどお話しした海外臨床試験と同様の結果が得られました。
  このように、シクレソニドは既存の吸入ステロイドと同じ用量で、かつ、1日1回の投与で呼吸機能や喘息症状の改善を示すことができ、また海外データではありますが、副作用の頻度も少ないことが明らかとなりました。

icon 喘息死の減少に向けて

 本日は、シクレソニドの特徴であるユニークな活性化メカニズムや国内外の臨床試験成績を中心にお話ししてまいりましたが、これら以外にも多くの基礎的試験や臨床試験が行われており様々な興味深い報告がなされています。
 わが国の吸入ステロイド薬使用率は上昇傾向にあるものの、欧米に比較して低く、本来は吸入ステロイド薬を必要としていながら、未だ十分な治療を受けておられない患者さんが多くいらっしゃるのも事実です。ステロイド薬の普及が喘息死を減少させていることは多くの報告より明らかであり、わが国においても吸入ステロイド薬の普及とともに喘息死の減少を認めています。2006年の厚生労働省の報告ではわが国の喘息死は2770名と、初めて3000名を切っています。しかし人口10万人単位の喘息死亡率は2005年で2.5、2006年で2.2となっています。そして、吸入ステロイド薬の普及が進んでいる北欧のフィンランドは2003年のデータですが0.3であり、北欧や北米に比較するとわが国の喘息死はまだまだ高く今後も吸入ステロイド薬の普及が望まれます。特にプライマリケアの先生方におけるわが国の喘息治療ガイドラインおよび吸入ステロイド薬の普及と同時に長時間作用性β刺激薬、テオフィリン徐放剤、ロイコトリエン受容体拮抗薬など併用薬の適切な使用が望まれます。
 本日お話しさせていただきました長時間作用性による「1日1回投与」、プロドラッグの機序による「局所活性化」、という新しい特徴をもつシクレソニドの登場は、吸入ステロイド薬と長時間作用性β刺激薬吸入剤の合剤の登場とも相まって、喘息治療の選択肢を広げ、ひいては吸入ステロイド薬の普及に貢献するものと期待しています。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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