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<スズケンDIアワー> 平成19年8月16日放送内容より スズケン

糖原病II型治療薬アルグルコシダーゼアルファ


東京慈恵会医科大学小児科 主任教授
衛藤 義勝

icon 糖原病II型の病像

 本日は、糖原病II型治療薬アルグルコシダーゼアルファについてご紹介させていただきます。この薬剤は、糖原病II型(以下ポンペ病)治療薬として最近開発され、今年(2007年)4月承認されました。
 その前に、ポンペ病のご紹介をさせていただきます。ポンペ病というのは、グリコーゲンの代謝に関係するαグルコシダーゼ酵素の先天的、遺伝的な欠損により、患者さんの主に筋肉に大量のグリコーゲンが蓄積します。遺伝的には常染色体劣性遺伝で、その頻度は約4万人に1人です。わが国でも100人余の人が患っておられます。臨床症状としては、酵素の残存活性により、非常に重症な方は乳児型といわれ、乳児期に発生して約2歳位までに心不全で亡くなってしまう重症なタイプと、遅発型と言われ酵素活性が残っている方など、発症時期はさまざまです。幼児期あるいは学童期、成人期あるいは40、50歳になって筋力低下になりそのうちに呼吸筋障害で亡くなるというタイプが知られております。

icon 乳児型における臨床成績

 乳児型は特に重症であり、治療をしないと約90%の方は2歳までに亡くなってしまうという、非常に臨床的には経過が早いタイプです。この病気の診断は、白血球あるいは筋肉組織でのαグルコシダーゼ活性を測定することにより酵素欠損が見られることで診断することができます。尿中にはグリコーゲンの代謝産物であるオリゴ糖が蓄積すしますので、尿中の代謝産物を分析することによって、確定診断ができるわけです。
 また、形態的には筋肉組織を一部採取し、筋肉内のグリコーゲンの手入れをしますと、筋肉でも大量のグリコーゲンが蓄積しており、特に細胞のライソゾームの中に蓄積するということが認められます。
 この疾患の治療法は今までありませんでした。最近になり、このアルグルコシダーゼアルファ、すなわちαグルコシダーゼという酵素製剤を遺伝子工学的な手法により、作ることができるようになりました。この酵素製剤を20mg/kg、2週間おきに静脈注射することにより蓄積しているグリコーゲンを分解することができます。乳児型のポンペ病患者さんに、この酵素を静脈注射で2週間おきに投与した結果、この臨床治験では2歳までにほとんどの患者さんが亡くなっていたものが2歳以降も全例(この時の臨床治験では18例の患者さんに欧米で行われたわけですが)、で治療によって亡くなる方がおられなかったということで、非常に画期的な成果が出ております。このポンペ病の患者さんは、先ほど申し上げた通り、心不全あるいは筋力の低下(フロッピーインファント)症状で、生後2〜3カ月で発症する場合が多く、2歳位までに心不全で亡くなるわけです。ところが、この酵素を投与することにより、正常の発達をすることができます。今までフロッピーインファントと言われ、身体がぐにゃぐにゃで、首も座らない、お座りもできないといった状態で、もちろん歩くこともできないという患者さんが、早期に発見してできるだけ早期に治療を行えば普通の子どもさんと同じように、運動発達、精神発達ができるということで、非常に大きな成果が上がっております。

 

提供 : 株式会社スズケン

      

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